【現場を変えるMobilityのアイデア】第34話:iPad導入を成功へと導く用途と運用の両輪
福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com
iOSを企業の現場に浸透させていく中で、大きな障壁になることがある。それが、「用途検討」と「運用体制」の2つだ。iOSを業務のどのシーンで使うのか、そのiOSはどのようにサポートされるのか、用途と運用が両輪で回る状態が、継続的なiOSの利活用につながる。
ここで言う用途検討とは、iOSをどのような業務課題の解決策として利用していくかということである。iOSを導入する目的が定まっておらず、世の中の流れに同調するかのようにiOSを導入することが目的化されている現場もまだまだ多い。成功事例を紐解けば、業務課題を理解している現場がiOSの用途を検討し、業務改善を進めている。
ここでポイントになるのがアプリの目利きだ。アップストア(App Store)に豊富にあるアプリや、ファイル共有やチャットなどのクラウドサービスなど、自分たちの業務にフィットするものがどれなのかを見極めることが重要である。
ただし、iOSの利活用を推進する現場にアプリの目利きができる人が溢れているわけではないだろう。そこで、まずはアプリを試して、用途検討を進めるための基盤が必要になる。外部のベンダーやアプリ開発会社の知見も大事だが、まず初めに自分たちの業務と照らし合わせて、どんな機能が必要なのか、何を優先するのかを決めるためのチームや体制を作ることだ。また、アップストアプリもアプリ開発会社が定期的にアップデートを行っている。利用しているアプリの機能追加や統合、削除といった変化を確認し、継続利用が可能なのか、代替アプリを探す必要があるのかも定期的にチェックしたいところだ。
業務に特化したアプリ開発を進めるうえでも、業務課題を理解した社員を募り、社内に開発チームを起ち上げるようなケースもある。この場合にも、開発したあとにサポートを継続していくかも課題になる。属人的になってしまう開発業務に対して、人事異動など組織内の人の流動性への対応が必要だ。
運用体制の課題は、iOS導入を推進する事業部門と、組織内のセキュリティやシステム管理を担当する情報システム部門との壁によって生まれる。これだけiOSが企業に採用されていても、情報システム部門ではiOSの運用やサポート経験やノウハウがないという理由で、導入後のiOSの運用も事業部門に委ねるケースも多い。こうなると、iOSの利活用を推進したい現場に対して、運用という新たな業務負荷が発生してしまう。本来情報システム部門が積極的にサポートしていくべき運用業務ではあるが、情報システム部門が対応すべきことや事業部門との役割分担、アウトソースする業務を明確にして、iOSを業務の中で使っていくうえでの体制をしっかり整えなければならない。
また、運用体制を検討するうえで大事なポイントは、誰が、何をやるのかを明確にして、業務の手順を可視化することである。たとえば、iOSのアップデートが生じた際に、いつ、誰がアップデート作業を実施するのか、追加でアプリをインストールしたい場合に、アプリの購入や配信はどのタイミングで行うのか、といったことである。運用業務の手順を一つ一つ明確にすることが、日々の業務の中でiOSの利活用を支えることになるのだ。
iOSの用途を拡大して、業務変革を実現するうえでも、運用体制を確立することは欠かせないものだが、用途検討のプロセスやその中での目利きも大事である。攻めと守りの両輪が回ることが、iOSの業務への定着化の地盤固めになるのだ。
この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年11月号)。
現場を変えるMobilityのアイデア 記事一覧
- 第34話:iPad導入を成功へと導く用途と運用の両輪
- 第33話:Apple ID管理の「解」来たる!?
- 第32話:可能性を拡張する問いを立てる力
- 第31話:腹落ち感が生み出す研修の価値
- 第30話:モバイル活用の本質を見直すタイムマネジメント
- 第29話:結果につなげる 「×考え方」のビジネス方程式
- 第28話:CXを高めるApple製品の客室導入
- 第27話:不快を味わい「学び」をアップデート
- 第26話:CYODの実現に最初に必要な Why? の問い
- 第25話:他社を真似ずに自分たちで“事例”は作る
- 第24話:「ソリューション」という幻想に惑わされない秘訣
- 第23話:AI時代のエコシステムと価値創造に必要な対等な“ツッコミ”
- 第22話:“デジタル変革”に もっとも大切な 目的の明確化と共有
- 第21話:企業の体質改善に求められるITの"目利き力"
- 第20話:心地良さの追求がIT機器導入を「変革」へと導く
- 第19話:iOSによる教育現場の化学反応
- 第18話:企業カルチャーを創り出すオフィスとiOS
- 第17話:知的好奇心を刺激する学び
- 第16話:ITサポートに求められるのは"寄り添う"姿勢
- 第15話:創造力を守るための時間確保
- 第14話:日本のEnterprise ITに足りないもの
- 第13話:形骸化させない"働き方"改革
- 第12話:志は高く、目線は低く、ユーザー視点で
- 第11話:幸せを呼び込むタスク管理
- 第10話:変化するのは人か、 テクノロジーか、 それとも…?
- 第9話:モビリティの成功の秘訣は「型」にあり
- 第8話:ムダな会議を撲滅、 有意義な時間を創出
- 第7話:教育現場でのiPad機能制限、絶対反対!
- 第6話:モビリティの三段活用
- 第5話:悪いルーティーンを打破するiOS
- 第4話:そのプレゼンは聴く者を動かしているか?
- 第3話:情報共有はInformationからKnowledgeへ
- 第2話:目的の定まった"定着する"モバイルの活用
- 第1話:そのマニュアルは使われているか?
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