探訪!オートデスク株式会社
福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com
ビジネスの現場でよくある光景。「では、次回のミーティングのスケジュールは後ほどメールで」。その場でスケジュール調整を行えば話が早いのに、ついつい事後的にメールでやりとりしてしまう。
日々、我々の日常生活やビジネスの現場は、こなさなければならないタスク(課された仕事・課題)で溢れている。スケジュール調整や報告書作成、プレゼン準備など、業務内容やプロジェクトによって大きさも量も異なるタスク管理は、ビジネスパーソンの重要なスキルの1つだ。
アップストア(AppStore)で「タスク」や「ToDo」と検索すると、豊富な種類のアプリが出てくる。そのくらいタスク管理を課題に感じている人は多く、管理の手法に対するニーズも多様性がある。しかし、本質的なタスク管理ができていない人は多い。スケジュール帳やカレンダーにタスクが溢れていて優先順位がわからない、一日のスタートに何から手をつけていいかわからない、タスクの設定があいまいでタスクの処理にかかる時間がわからないなど、タスク管理のルールが身についていないと、折角のアプリも台無しである。
私のタスク管理の方法はこうだ。まずタスクを徹底的に細分化し、仕事の大きさや状況を正確に把握する。「誰が、何を、いつまでに実行するのか?」といった最低限の項目でタスクを洗い出し、それからタスクをすべて書き出す。ツールの使い方に捉われず、タスクの入力の仕方を変えることが肝要だ。紙とペンの組み合わせのようなアナログツール、アプリやWEBサービスなどのデジタルツール、またはその両方の組み合わせだったとしても、ポイントは可能な限り簡単にした入力の仕方である。
次に優先順位を決める。緊急度や重要度など優先順位を決めるためのフレームワークはいろいろあるが、ゴールの設定ができていれば、重要なタスクを絞り込むことが可能である。そして最後に洗い出したタスクを取捨選択し、やらないことを決める。
タスクが多く、忙しいと言っていることは褒められることではない。重要なタスクに対して、きちんと考える時間や決断のための準備をする時間がなくならないようにするのも大切だ。モビリティは、タスクが発生した際に、その場で片づけられるものは後に残さないように助けてくれる。
ツールは、次の3つの視点から選んでいる。「シンプル」「マルチプラットフォーム対応」「習慣化」である。「シンプル」であることは、いつでもどこでも確認ができるという点で重要だ。iPhone片手でも簡単に入力が可能なものがいい。業務内容にもよるが、ガントチャートのような複雑なものではなく、簡単にどこからでも入力できるように、iOSデバイスでもMacでも、ブラウザからでも入力・確認ができる「マルチプラットフォーム対応」のものがいい。この2つのポイントが揃うことで、3つ目の「習慣化」がしやすくなる。
この3つのポイントは、新しいアプリやサービスが登場したとき、愛用していたアプリが使えなくなってしまったときなどに、すぐに他に乗り換えられるようにするための1つの指標でもある。タスク管理の手法をしっかり決めておけば、今まで使っていたツールに固執することなく、新しいツールを使うことに抵抗なく始めることができる。
現場に配備されたiOSデバイスがパワーを発揮するために、あらゆる業務のスタートとなるのがタスク管理である。ビジネスを成功に導くために必要なことは、「緻密かつ徹底的なプロセス管理」だ。目の前の膨大なタスクに忙殺されることなく、効率的にタスクをこなすこと、タスクを管理できている状態こそがストレスフリーな状態となる。一日一日を幸せに過ごすためにも、日常生活や仕事の中のタスク管理を見直し、新たなタスク管理で幸せを呼び込んでほしい。
この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年10月号)。
現場を変えるMobilityのアイデア 記事一覧
- 第30話:モバイル活用の本質を見直すタイムマネジメント
- 第29話:結果につなげる 「×考え方」のビジネス方程式
- 第28話:CXを高めるApple製品の客室導入
- 第27話:不快を味わい「学び」をアップデート
- 第26話:CYODの実現に最初に必要な Why? の問い
- 第25話:他社を真似ずに自分たちで“事例”は作る
- 第24話:「ソリューション」という幻想に惑わされない秘訣
- 第23話:AI時代のエコシステムと価値創造に必要な対等な“ツッコミ”
- 第22話:“デジタル変革”に もっとも大切な 目的の明確化と共有
- 第21話:企業の体質改善に求められるITの"目利き力"
- 第20話:心地良さの追求がIT機器導入を「変革」へと導く
- 第19話:iOSによる教育現場の化学反応
- 第18話:企業カルチャーを創り出すオフィスとiOS
- 第17話:知的好奇心を刺激する学び
- 第16話:ITサポートに求められるのは"寄り添う"姿勢
- 第15話:創造力を守るための時間確保
- 第14話:日本のEnterprise ITに足りないもの
- 第13話:形骸化させない"働き方"改革
- 第12話:志は高く、目線は低く、ユーザー視点で
- 第11話:幸せを呼び込むタスク管理
- 第10話:変化するのは人か、 テクノロジーか、 それとも…?
- 第9話:モビリティの成功の秘訣は「型」にあり
- 第8話:ムダな会議を撲滅、 有意義な時間を創出
- 第7話:教育現場でのiPad機能制限、絶対反対!
- 第6話:モビリティの三段活用
- 第5話:悪いルーティーンを打破するiOS
- 第4話:そのプレゼンは聴く者を動かしているか?
- 第3話:情報共有はInformationからKnowledgeへ
- 第2話:目的の定まった"定着する"モバイルの活用
- 第1話:そのマニュアルは使われているか?
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