現場を変えるMobilityのアイデア

第27話:不快を味わい「学び」をアップデート

コラム

2022.01.31

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Mac Fan誌で2015年12月号から2018年12月号まで連載。
仕事や学びを変えていく、明日から使えるヒントがここにあります。

福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com

「成長できている」と実感するのはどんなときか?その多くは、不可能だったことが可能になったときだろう。人は誰しもが現在の状況を今以上のものにしたいと考え、成長し続けたいと願っているはずだ。しかし、この成長機会を常に持ち続けることは可能なことなのか?教育の現場でも業務の現場でも、一人一人が成長意欲を持って取り組める環境を維持することは極めて難しいことである。

また、デジタル変革が加速する現代においては、人も組織も、従来の延長線上にあるリニアな成長だけでなく、学び直し、つまりは学びのアップデートが必要になる。自分自身が成長したいという理由からだけでなく、ある意味、環境変化に伴って成長を余儀なくされたり、昔からやってきたことや積み上げてきた経験が意味をなさなくなったりするからだ。

先日、初めて英語でプレゼンテーションする機会があった。最初はうまくいくかどうか不安だったが、何度も練習を繰り返したことで本番ではスムースに言葉が出てきて、今では何も見なくても、そのフレーズが口から出てくるようになった。不快だと思っていた環境に身を置いて取り組み続けることで、結果できることが増え、成長を実感できたのである。

プレゼンテーションの練習ひとつを取っても、発表姿勢や発声、言葉遣いなど、自分自身の様子を動画で記録し、その過程を振り返ることで、今までできなかったことができるようになったり、自分の成長を確認できたりする。そして、自身成長を実感し、成長の過程を確認できれば、さらに成長したいという意欲が湧いてくる。

教育の現場における一人一台のタブレット端末も、子どもたちの成長機会を育むために利用されるものでなければならない。機能制限を行うことには反対であると以前本誌にも書いたが、タブレットがもたらす成長機会について示すことが何よりも大事であると思う。

たとえば、プログラミング教育のような新たな学習コンテンツは、プログラムを書けるようになることが目的ではなく、自らが望むものを自身で生み出す能力を身につけるためのひとつの手段のはずだ。どんなコードを書くかは、表現したいことに合わせて選択できればいい。つまり、どんなコードを学ぶかよりも、なぜコードを学ぶのかを知ることが先決だ。

では、成長機会はどこにあり、どうしたら成長できるのか?それは自らのコンフォートゾーン(Comfort Zone)から一歩踏み出すことから始まる。誰しもが慣れた環境、仕事内容、学習スタイルがあるもので、その中で行動したほうがスムースにことは運ぶし、心地良く過ごせるものだ。

しかし、一方で、決まったパターンで行われる作業の中に居続けると、急な変化や突発的な問題に対処ができなくなる。この臨機応変な対処を身につけることこそが成長の第一歩なのである。

それは、言い換えれば、「不快な環境に身を置くこと」。初めて何かに挑戦したり、初めて誰かと仕事をしたり、初めての土地や環境に身を置いたりすることは、たいていはストレスだ。しかし、今までに経験のない場所に自らの意思で向かうことこそが、対応力や瞬発力といった臨機応変な対処を習得することにつながり、結果、できることの幅を広げる。だから、教育の現場でも、仕事の現場でも、小さな失敗をどんどん繰り返すこと(Fail Fast)が許容された環境や雰囲気作りが重要なのだ。そうでなければ、新しい価値を生み出すサイクルは回らない。

これからの未来をつくるのは、iOSでもAIでもロボットでもない。人の創造力こそが未来をつくるのだ。これからの社会で生き抜く術を身につけるためにも、成長サイクルを自ら生み出せるような学びのアップデートを行おうではないか。


この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年11月号)。

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