現場を変えるMobilityのアイデア

第18話:企業カルチャーを創り出すオフィスとiOS

コラム

2020.08.27

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Mac Fan誌で2015年12月号から2018年12月号まで連載。
仕事や学びを変えていく、明日から使えるヒントがここにあります。

福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com

月曜日の朝の通勤電車。出社するのが面倒だ、やる気が出ない…そんな気分でiPhoneを片手に電車に揺られている人もいるだろう。ところで、オフィスに行く理由は何なのだろうか?現在は、モビリティの普及に伴い、いつどこにいても情報にアクセスし、コミュニケーションを取ることが可能だ。そして働く場所、つまりオフィスといった「場」の果たす役割は変わりつつある。それが「業務を行うためだけの場所」であるならば、オフィスに行かなければならない理由としては乏しい。

これから大事となるのは、オフィスという場が、その企業のカルチャーを生み出すところであるという考え方だ。経営のビジョンを表し、企業文化や風土を共有するための場である。それがデザインされることで、これからのオフィスは顧客やパートナーとの接点となり、他者との共感を生み出す。そしてイノベーションが起こるきっけとなるのである。また、オフィスがオープン化し多様化することで、顧客との接点が現場の事業部門だけだった状況から広がる。セクショナリズムのような事業部門間の壁も、これからのオフィスのデザインで取り払われるべきだ。営業と経理、人事とマーケティングなど、普段の業務では関わることが少ない部門が近くで一緒に仕事をすることで、顧客視点のマインドセットを共有できることもある。旧来のオフィスは設備やファシリティといったハードを中心に考えられてきたが、これからはその場で働く人を中心に考え、オフィスの中心をデザインすることが求められている。

働き方変革を求められる企業はモバイルの特性を活かしたリモートワークや在宅での作業を許容することで、これからの社会に適応しようとする。しかし、その一方で、会社と社員のつながりが薄れていくことも懸念されている。ITを使うことでリモートワーク時の作業状況を監視するような取り組みも行われているが、管理側にとっては安心材料の1つとなる半面、監視される側は常に見張られている緊張感から会社とのつながりに対し不安や不満を抱くことになる。リモートワークはどうしても導入するツールに目が行きがちだが、対面で顔が見えない環境で働くことになったとしても、仕事の成果が出るような仕組みを突き詰めると、働く人同士の信頼関係が構築され、しっかり連携できていることが必須である。

このようなオフィスが普及してくる中で、モビリティが求められる役割、果たすべきこととは何か?それはオフィス内での仕事の一連の流れであるインプットからそのプロセス、アウトプットまで、各業務の場面でモバイルを中心に考えられた状態を作ることである。たとえば、人事部門の採用活動の業務の中で、応募者の履歴書や経歴、ポートフォリオがセキュアかつスムースに閲覧することができるかといったことだ。個人情報を含むデータを扱うため、何重にもパスワードがかけられ、サーバの奥深くに格納されているデータとなってしまっては、面接時に手元にあるiPadで確認したいと思っても、即座に対応することができない。

こういったシーンで、既存の業務がどれだけモバイルで行うことを前提に考えられているかが重要になってくる。何かしらの業務上の課題に対しても、いろいろと仮説を立てるインプットの段階でも、実際の業務を行うプロセスでも、成果を出すアウトプットのシーンでも、モバイルを中心に業務を再設計し、オフィスといった働く「場」をモビリティが支えることになるのだ。結果、その働き方が従業員の行動規範やパフォーマンスに反映され、その企業独自の文化や風土となり、顧客に新たな価値を提供できるようになるはずだ。そして、このような価値創造の根底には人間と人間の信頼関係があってこそ成立するのである。


この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年11月号)。

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