現場を変えるMobilityのアイデア

第12話:志は高く、目線は低く、ユーザー視点で

コラム

2020.02.27

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Mac Fan誌で2015年12月号から2018年12月号まで連載。
仕事や学びを変えていく、明日から使えるヒントがここにあります。

福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com

教育現場では、文部科学省が2020年に向けて一人一台のタブレットを使って授業が受けられることを目標としている。しかし、タブレットが一人一台に行き渡り、授業が受けられるようになるためには、多くの課題が山積みである。ここ最近は、週に1〜2回は教育関係者との打ち合わせや相談があり、教育現場の課題について話す機会が増えている。

では、教育現場にはどのような課題があるのか。それは立場によって、タブレット導入の捉え方が違うことである。まず、先生の立場では授業に最新のICTを活用し、子ども達にデジタル体験を教えたいと思っている。一方では、自分の教え方に拘りがあり、新しいものに抵抗のある先生もいる。そして、タブレットを使うことになったら、使いこなすことができるのか不安なのである。

次に子ども達(学生・生徒・児童)の立場では、家庭や個人で所有しているデバイスと同じように自由に使いたいと思う。学校で用意されるものが、個人で所有しているもの、普段使い慣れているものと同じように使えることを望む。究極はBYODのように個人で所有しているものが、授業の中でそのまま使うことができることかもしれない。学校や自治体の立場になると、配付したデバイスがきちんと利活用されているか把握したい、導入効果がどの程度あるのか知りたいという話が多い。

最後に、保護者の立場である。子どもにタブレットを持たせることになったら、コストはどのくらいかかるのか、授業料など月々の家計にどの程度負担になるのかが気になる。また、故障や破損、紛失してしまったの場合の対応や、機能制限はどのようになっているのか。このような不安がある。この4者の課題は、トレードオフの関係にあるものが多いため、解決が難しい。たとえば、保護者や学校、自治体のセキュリティ確保と、生徒児童にとっての使い勝手。

教育現場におけるタブレット導入の本当に価値ある体験とは何か。個人的には、モバイルの画面の中で見たことは何の価値もないと思う。そうではなく、モバイルの画面を通して得た情報を自分自身の目で見て、耳で聞き、行動したことによって得られた体験にこそに価値があるのだ。タブレットは情報のインプット・アウトプットを気軽に手元で行うことを可能にし、コミュニケーションを円滑にしてくれるものである。デバイスの中で完結することではなく、リアルなコミュニケーションがあって初めてモビリティが成立するのである。

企業や教育機関、あらゆる組織において、それぞれの立場の課題を把握し、取りまとめてマネジメントしていくことが求められている。iOS導入の現場では、デバイス調達からキッティング、ネットワーク構築、MDM、アプリ、コンテンツ、運用、保守、トレーニングなど、多くのことを検討しなければならないし、そのすべてをしっかり網羅しなければ、後々課題が増えてしまう。一社単独で顧客のニーズに応えられるケースもなくはないが、各領域を得意とするパートナーと連携し、スピーディーに課題を解決していくことが、成功へのステップである。

パートナーを選ぶポイントは「具体性」だ。それぞれの強みや得意なことを机上で議論していても何も進まない。具体的な案件やプロジェクトを一緒に推進することで、お互いの得意不得意が見えてくるものである。

具体性を持たせるためには、共通の顧客(もしくは課題)が必要であり、それを一緒に考え抜くことが大切だ。そして、実際に目に見える形にする「プロトタイプ」を作ることで問題解決が進む。本質的な問題解決というのは、このような課題のトレードオフを前に思考停止せず、答えの「落とし所」を関係者を巻き込みながら探るところにある。


この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年11月号)。

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