現場を変えるMobilityのアイデア

第16話:ITサポートに求められるのは"寄り添う"姿勢

コラム

2020.07.09

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Mac Fan誌で2015年12月号から2018年12月号まで連載。
仕事や学びを変えていく、明日から使えるヒントがここにあります。

福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com

情報システム部門やIT担当者の主たる業務とは何だろうか?現状では、運用しているシステムに関する日々のトラブルシュートや、ユーザのヘルプデスク対応、デバイスのライフサイクル管理が日々の業務の大半を占めているのではないか。情報システム部門の存在意義は、組織内のIT戦略を立案し、ITを活用することで業務効率化を実現し、事業拡大に貢献することだと思う。しかし、企業や組織においてシャドーITと呼ばれるように、個人が利用するアプリやサービスがユーザの日常業務を助けている現実があり、情報システム部門はその対応に追われている(もしくは黙認している)。

iOSを中心としたモバイルデバイスの導入は、さまざまな業種業界に浸透し、ビジネスを拡大することにつながる。とはいえ「働き方改革」といったキーワードから、限られた時間の中で結果を残すために、ユーザはよりデバイスの活用度を高めることが求められている。

しかし、現実にはデバイスが支給され、今までの業務プロセスから変わらなく利用していることがほとんどで、モバイルの特性を活かした利用ができているユーザは少ない。携帯電話やPCの延長でiOSを利用していることが多く、既存の業務の「代替・追加」といった状況である。iOSの導入によっていきなり業務を変革することは簡単なことではない。まずは目の前の業務に対して「代替・追加」したデバイスが、業務の中にしっかり定着しているのかを見直すことが大切だ。

この背景には、導入設計やモバイルの活用検討がしっかりなされていないこともあるが、組織内にデバイスを提供し、運用する情報システム部門の関わり方も影響している。それは情報システム部門の姿勢が、導入したシステムが問題が起きてから対処するパッシブなものであるからだ。これからのIT担当者には、導入するシステムやモバイルデバイスに関して、実際の現場の業務にしっかりフィットするものかを検討し、その業務への定着化や活用支援を行うアクティブな姿勢が必要不可欠となる。

iOSというのは、使い方一つで生産性に段違いの差が出る。たとえば、フリック入力のやり方やカメラアプリのスムースな起動、エアドロップ(AirDrop)のようなデータの共有方法だ。指先一つのアクションが、その後のプロセスに影響してくる。たとえば、今すぐ写真を撮って状況報告をしたい場合、カメラアプリを瞬時に起動できるかどうかがポイントである。ロックを解除して、ホーム画面上のカメラアプリを探し、起動してピントを合わせて、シャッターを押す。このプロセスに何十秒もかかってしまっていては、必要な情報や伝えたい状況を捉えることは困難である。知っている人にとっては、なんてことはない当たり前のことだが、その方法を知らないユーザは一つ一つの所作に無駄な時間を費やしてしまうのである。生産性を高めるためには、業務上の「思考・判断・行動」のそれぞれの過程において、スピードと正確性を上げることがもっとも近道となる。

今、現場はアウトプットの質を高めることが急務だ。そこで情報システム部門やIT担当者ができることは、iOSの使い方を知らないユーザに対し、アクティブに使い方を教えることでユーザのアウトプットの価値を上げること。現場の生産性の向上に貢献することが、ユーザにとっても企業にとっても価値創造につながるのである。デバイスを導入したままに終わらせることなく、現場の一人一人の利用方法に目を向け、一つでも多くデバイスの操作を効率化できるように支援しよう。

iOSはビジネスの現場において当たり前の存在となったが、これからのITサポートの在り方を再構築することで、より付加価値のある仕事ができるようになる可能性がまだまだ残されているはずだ。


この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年11月号)。

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