現場を変えるMobilityのアイデア

第9話:モビリティの成功の秘訣は「型」にあり

コラム

2019.02.21

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Mac Fan誌で2015年12月号から2018年12月号まで連載。
仕事や学びを変えていく、明日から使えるヒントがここにあります。

福田 弘徳
株式会社Too モビリティ・エバンジェリスト
企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。
www.too.com

ちょうど1年前の本誌の特集「iPad導入 成功のシナリオ」に寄稿した。非凡な現場から学ぶiPadの正しい使い方と、必要なマインドセットについて書いたのだが、PCの行き届かなかった現場にこそ、価値のあるiPad活用の可能性があると考えていた。それから1年が経過し、この連載を担当することになり、モビリティがどのように現場を変えることができるかを伝えてきたわけだが、企業や教育機関において、モビリティが定着しているとはまだまだ言い切れないのが現状である。

私は日々、さまざまな企業や教育機関のiPad導入担当者と話をしている。その際に相談される内容の多くは、導入検討段階における、ファイル共有などのアプリやMDMなどの端末管理ソリューションの話である。しかも、担当者からは必要な要件に対し、その機能が備わっているのかどうかといった、機能の比較検討の話が中心だ。

そのような話になった場合は、iPad導入で検討すべきことが機能偏重にならないように、デバイスやシステム、業務プロセス、関わる人など全体を俯瞰し、「どのように使っていきたいか?」を最初に検討するように伝えている。また、アプリやソリューションの検討においては、無料アカウントやトライアルでしっかり製品に触れることおすすめしている。そうすることで導入後の活用イメージが具体的になり、その後の選定に役立つからだ。iPadの導入は、導入後のイメージの明確化(Think Big)、段階的な導入(Start Small)、迅速な展開(Scale Fast)で進めることが成功のステップとなる。

では、そのステップで進めるうえで重要なことは何か。それは「型(カタ)」である。ここでの「型」は、機械や工業製品の型ではなく、武道や伝統芸能、スポーツなどでの規範となる行動様式を指す。武道や伝統芸能における型稽古(練習)のように、基本の動作を繰り返し、基本の動きを体が覚えることで、いざというときに体が動くようになるし、体が動くようになって初めて応用が利くようになる。だから、モビリティの導入にも「型」が必要だ。

たとえば、店舗接客の場合、お客様からのリクエストに対し、その場でインターネットを検索して答えるといったことである。専用アプリがあれば、在庫検索や納期確認も可能だ。長時間にわたる社内研修や勉強会のような場面では、即座にカメラやボイスメモを起動し、記録を残すような動きが当てはまる。移動中の電車の中や休憩中には、次の打ち合わせの準備のために資料を閲覧確認し、事前準備を怠らないようにすることである。その瞬間のまず最初の動きにモバイルデバイスがあり、体が即座に反応するようなiPad活用が望ましい。

このような所作はiPadを導入すれば身につくものではなく、モバイルデバイスの特性を活かした働き方である「モビリティ」の導入が前提となる。モビリティの導入に必要な視点は次の3つである。

まずは「何かの置き換えではなく、既存の仕組みを超えたものであるか?」。つまり、PCの代わりにiPadを使うのではなく、現場の対話から生まれる理想と現実のギャップが問題解決のヒントになる。次に、「導入が簡単で、シンプルなプロセスで利用することができるか?」。テクノロジーの恩恵を受け、スムースな導入ができるのが理想的だ。最後に「習熟に時間がかからず、すぐに習慣化できるものか?」。プライベートで使っているモバイルデバイスのように、特別なトレーニングを必要とすることなく、使い始めることでユーザの負担を大きく軽減することが可能になる。

仕事や業務の中で新しいモビリティを定着化させるということは、モバイルデバイスの使い方ではなく、モバイルを使った動きや考え方を身につけることである。基本の「型」を身につけ、時代や環境の変化に対応できる働き方を目指してほしい。


この記事は、Mac Fan連載「現場を変えるMobilityのアイデア」の転載です(初出:Mac Fan 2016年8月号)。

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