design surf seminar 2020

クリエイターの「ワクワク」は止まらない

レポート

2020.12.24

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Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2020 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2020年11月3日(火)~6(金)にオンラインで開催しました。環境が激変した今年のdesign surf seminarは、より身近でよりいまに近い「ビジネスやクリエイティブ、デザインという仕事のいまを共有し合おう。」をテーマにしました。今年は全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

AIやデジタル技術が進化しても、アイデアや発想は今後も重視されるはず。公益社団法人日本広告制作協会(OAC)所属の若手クリエイターに、コロナ禍においても自分の「好き」や「好奇心」を大切に、日々アイデアや発想を生んでいる様子を語っていただきました。

本セッションは、なんと人形劇からスタート。開幕から若手クリエイターたちの世界観に引き込まれていきます。3つのテーマ
1.在宅勤務、正直どう?
2.ワクワクってどんなこと?
3.クリエイターって何?
について、株式会社東京アドデザイナース コピーライターの山﨑奈美子氏、株式会社電通テック デザイナーの勝森彩香氏、株式会社博報堂プロダクツ デザイナーの佐藤翔吾氏がディスカッションし、株式会社スタヂオ・ユニ クリエイティブディレクターの樋口牧子氏のファシリテートで進行しました。

wakuwaku1.jpg佐藤氏が声をあてた人形劇からスタートしました。

在宅勤務で自分なりのスイッチを探す

まずは、コロナ禍という誰も経験したことのない状況に関して、在宅勤務で仕事のスイッチの切り替えはどうしているのか問いかけられました。

勝森氏は、在宅勤務が始まった当初はプライベートとの切り替えが難しかったと話します。そこで、今まで抜きがちだった朝食を食べてから仕事をするようになりました。これがスイッチとなり、仕事の姿勢に切り替えられるようになったそうです。

身も心も踊るダンシングアートディレクターを目指し活動している佐藤氏は、体を動かすことを大切にしていると話します。朝起きたら一旦外に出ることで出社したかのような感覚になり、自然と意識が切り替わるとのことです。

山﨑氏は、自宅のデスクを一つ会社用に決めたそうです。パソコンや資料を置き、座ると自然にスイッチが入るようにしました。また、コピーライターにとって頭の中でじっくりと考える時間はとても重要です。自分のペースで集中できる環境として、在宅勤務はぴったりだということを発見できたそうです。

自分のクリエイティブワークに合わせて、それぞれが工夫をこらしながら切り替えを行なっている様子が伺えました。

新しい出会いが「ワクワク」を生む

二つ目のテーマ、「ワクワクってどんなこと?」について。どんな時に心が躍り、どんなことを好きだと感じるか、樋口氏が問いかけます。

山﨑氏は、大学時代から続けているジャズがワクワクすることだと述べます。即興で演奏するジャズは、まさに音楽と音楽のコミュニケーション。曲中のどこに山場を作るか、どのようなストーリーにするかを考える工程は、クライアントと意思疎通を図りながら進めるコピーライターの仕事と共通点があるとのことです。

大阪出身で沖縄の大学に通っていた勝森氏は、上京してからの「出会い」だと語ります。好きなアーティストのライブに気軽に行くことができたり、テレビで紹介される飲食店が足を運べる距離にあることが新鮮だったとのこと。見たり聞いたりするものと実際に出会い、そこから吸収できる情報がデザイナー業に活きているそうです。

佐藤氏は、仕事外でパフォーマンスカンパニーを主宰しているとのこと。2年に1回ほどのペースで、公演を企画しています。自分がステージ上で演じることだけではなく、プロデューサーとしてパフォーマンスを見てもらい、楽しんでもらう瞬間がたまらなく好きで、この感情こそが活動を継続できる原動力となっていると話します。

3人のコメントを受け、日常的に着物を着ている樋口氏は「帯締めが一本違うだけで全体の印象が大きく変わる」と語ります。実際に着物と帯締めを組み合わせる偶発的な出会いによって、想像もできないような新しい着こなしが生まれます。それと同じで、新たな刺激はネットや閉じられたコミュニティの中だけでは発見できないもの。新しい出会いを怖がることなく、面白いと感じるスピリットを若手クリエイターたちが持っていることは非常に意味があることだと述べました。

若手クリエイターにとっての「クリエイティブ」

最後のテーマは「クリエイティブって、そもそもどんなこと」か。それに関連して「自分がどんなクリエイターでありたいか」ディスカッションします。

佐藤氏は、クリエイターは心を解き放ち、今までとは異なる世界に連れて行ってくれる、そんな存在だと語ります。続けて、自分自身は無駄を面白がれるクリエイターでありたいと述べます。デザインや広告は効率的に無駄を削いでいく行為である一方、削がれた部分にこそ意味があると感じるようになったとのこと。コロナ禍を経てちょっとした雑談の時間が削がれ、「非効率的なもの」の重要性を再確認したそうです。

勝森氏は広告業界に入った理由として、いろいろな業界に関わって「なんでもやりたかったから」という理由を挙げました。大学でもグラフィックデザインのみならずインテリアデザインなど幅広く勉強していたとのこと。就職後は専門外だった案件にも取り組むことで、予想以上のことを吸収できたそうです。「なんでも屋さん」になって、世界が広く見えるクリエイターでありたいと語ります。

山﨑氏は、広告には「買ってほしい、使ってほしい」という前提があるのではないかとのこと。しかし、あまりにもストレートに伝えすぎると、時に暴力的な表現になってしまうこともありうると話します。同じ業界に居続けることでストレートな感覚に慣れてしまわないためにも、広告業界以外のものも広く見ていきたいと語りました。また、いまは一般の方もクリエイティブできる時代。そこで、プロである私たちがどうあるべきかが問われる時代になってきそうだと述べました。

3名にとっての「クリエイティブとは」を受けて樋口氏が語ります。予想もしないことが起きる現代において、テクノロジーの進化で表現媒体も変化し続けています。その結果、肩書きがついたクリエイター以外の人が自由に自分の表現を発信できる時代になりました。クリエイティブを一番考えるべきは自分たちであるものの、多方向からのクリエイティブをどんな方法でキャッチするか。そういったことにワクワクできる時代になっていくことがとても楽しみだとまとめました。

セッションの終わりには、視聴者との質疑応答の時間をリアルタイムでとりました。デザインを学ぶ学生さんから「学生時代に学んでおくべきことは?」との質問に、「デザイン以外のことを幅広く学んでください!」と回答。コミュニケーションをビジネスとしているクリエイターの実感かもしれません。自分自身の「好き」や「好奇心」を見つめ直す機会に、また若手クリエイターの想いを知るきっかけとなったセッションでした。


公益社団法人日本広告制作協会

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