design surf seminar 2020

Adobe MAXから読み解くクリエイティブ環境のこれから

レポート

2020.12.07

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岩本崇

アドビ株式会社
フィールドプロダクトマネージャー

前田勝規

株式会社Too
Too Training Center Desi(デジ)講師

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2020 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2020年11月3日(火)~6(金)にオンラインで開催しました。環境が激変した今年のdesign surf seminarは、より身近でよりいまに近い「ビジネスやクリエイティブ、デザインという仕事のいまを共有し合おう。」をテーマにしました。今年は全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

design surf seminarの2週間前に開催された、年に一度のクリエイティブの祭典Adobe MAX。今年は初のオンライン実施となり、世界規模で50時間以上に渡り配信されました。本セッションでは、アドビ株式会社の岩本崇氏をお迎えし、TooのDTP・Webデザインスクール「Desi(デジ)」講師である前田とともに、Adobe MAXの重要ポイントをデモを交えて解説していただきました。

「岩本さん MAXお疲れ様でした!」「いやあ大変でしたが、世界中の皆さまに見ていただいので頑張りました。今日はMAX登壇時と同じ服装で登壇しました!」という息のあった二人の掛け合いから始まったこのセッションは、注目されたキーワードから話が始まりました。

キーワードは「iPad」と「Adobe Sensei」

今回の軸は「iPad」と「Adobe Sensei」の二つ。今年のAdobeMAXではIllustrator iPad版がお披露目されました。はじめにiPadの環境とデスクトップの環境の棲み分けについて、岩本氏いわく「これだけ多くの人がiPadを使っている状況で、ツールメーカーとして対応していくのは普遍的なこと」とのこと。モビリティの観点から、Adobe製品をiPadで使用したいという声は多いそうです。どんな環境でもクリエイティブワークをサポートするために、まずは直感的に使える機能を優先的に追加し、最終的にはどれだけデスクトップ版に近づけられるかに挑戦していくとのことです。

「Adobe Sensei」については、手を使って作業する時間を大幅に減らす機能が追加されたと紹介されました。オートメーションできる機能はツールに任せ、よりクリエイティブな思考に費やす時間を創出できるフィールドづくりを目指しているとのことです。

直感的な操作が魅力のIllustrator iPad版

まずは一つ目のキーワードである「iPad」から。今年はついに、リリースを開始して33年目であるIllustrator iPad版が登場しました。デスクトップ版との大きな違いとして挙げられたのはUIです。デスクトップ版はキーボード、トラックパッド、マウスなどで操作する一方、iPadはApple Pencilや指でより緻密にコントロールします。その点を踏まえ、より直感的な操作を意識した画面構成になったとのことです。例えば、デスクトップ版ではキーボードなどで行なっていたコピーやデリートなどの操作。iPad版では「共通アクション」と呼ばれるボタンをタッチするだけで、すべて直感的に行えるようになりました。

Adobe1.jpg画面下に、「共通アクション」のボタンが表示されています。

続いて、リリース後ユーザーの皆さまから既に高評価をいただいているという「シェイプ結合」について。Illustratorを使いこなしている方も、アイコン選択時に操作後の形をイメージしづらかったこの機能。機能使用後の形状が、UI上に表示されるようになりました。デスクトップ版への実装を望む声もあるそうで、ビギナーの方にもすぐに試していただきたい機能だと紹介されました。

Adobe2.jpg画面右側に、「シェイプを結合」適用後のオブジェクトの形状が表示されています。

そしてコンテンツ制作に欠かせないフォント。クリエイティブワークには数多くのフォントが必須です。Illustrator iPad版なら、18,000を超えるAdobe Fontsもデスクトップ版と同様に使うことができるとのこと。もちろんフォントアウトライン化の機能も備わっているため、ロゴなどのコンテンツ制作も可能です。

最後にiPad版にしかない注目の機能として紹介されたのは、「リピート」機能。ワンタッチで個性的なオブジェクトを簡単に作成することができる、パターン作りに最適な機能です。オブジェクトはデスクトップ版に引き継ぎ、制作の続きを行うことも可能です。岩本氏も「ハイライトな機能の一つ。iPad版ユーザーには特に使っていただきたい。」と力強く述べていました。

Adobe3.jpg「リピート」機能から「ラジアル」を選択することで、簡単に花のオブジェクトが作成できました。花びらの数もドラッグ操作で自由自在に増減できます。

クリエイティブを効率化する「Adobe Sensei」

続いて二つ目のキーワードである、AIテクノロジー「Adobe Sensei」について。用意されたのは、抜けるような青空の写真。クライアントから、「この空を夕方にしてくれ」と頼まれた時のことを想定してデモが始まりました。そんな面倒な作業をスムーズにこなしてくれるのは、「空を置き換え」機能。

Adobe4.jpg青空の写真(上)と加工後の夕焼け空の写真(下)。手前に広がる紅葉や、五重塔にも自然に馴染んでいます。

空の写真のテンプレートが、既にいくつか用意されています。この中から夕方のテンプレートを選択すると、なんと空が一瞬で変化しました。ただ単に置き換えられただけではなく、空の色に影響を受けている五重の塔への馴染み方など、繊細な表現も自動でAdobe Senseiが調整します。手動でスライドバーを操作し、自分好みに微調整することももちろん可能です。

また、調整後の素材はレイヤーマスクで分かれているので、後からの修正も簡単です。テンプレートに入っているものだけではなく、お手持ちの写真を入れて合成することも可能とのこと。まるで実際の風景のように、一瞬で自然に空が置き換わりました。

表情も年齢も自由自在のニューラルフィルター

続いて紹介されたのはニューラルフィルター。肌の隠したいポイントを自然に軽減してくれるなど、フィルター選択だけでイメージを簡単に変更することができます。岩本氏のプロフィール写真を使ってデモが行われました。

その中でも特に注目すべきは、β版フィルターである「スマートポートレート」。表情を変化させたり、被写体の年齢も操作することができるというものです。実際に機能を使ってみると、岩本氏のお顔が若々しくなったり、十数年後の姿に変化したりと衝撃的です。こちらの機能はβ版と付いている通り、多くのデータを処理し精度を上げている段階です。使えば使うほど情報が蓄積され、機能もアップグレードされるとのこと。ニューラルフィルターは、ユーザーの皆さまから意見をいただいて進化する、Adobe Senseiの特徴が強烈に現れた機能です。

Adobe5.jpg加工前の岩本氏(左)と、加工後の岩本氏(右)。ワンタッチで十数年後の姿に変化しました。

クリエイターの制作環境をサポートする

そのほかにも、ロイヤリティーフリーのストックフォトサービスAdobe Stockや、Adobe MAXで最も注目を浴びる最新技術のお披露目会SNEAKSの紹介など、限られた時間にAdobe MAXの注目ポイントがずっしりと詰め込まれました。

終盤では岩本氏と前田が、セッション中に届いた質問にライブで回答。また、リアルタイムのアンケートで投票を行うなど、オンラインではあるものの視聴者の皆さまとコミュニケーションを取りながら進行しました。クリエイターの制作環境をサポートするAdobeの最新テクノロジー。これからの進化に期待が高まる、ワクワクする内容が盛りだくさんのセッションとなりました。


アドビ株式会社
Too Training Center Desi(デジ)

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