design surf seminar 2020

全裸監督プロデューサーが明かす、世間を動かす『物語のデザイン』 ~ dof ハイボールナイト 第3夜

レポート

2021.01.07

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たちばな やすひと

プロデュース会社「Nemeton」代表

工藤拓真

株式会社dof ブランディング・ディレクター
株式会社BRANDFARM 代表

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2020 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2020年11月3日(火)~6(金)にオンラインで開催しました。環境が激変した今年のdesign surf seminarは、より身近でよりいまに近い「ビジネスやクリエイティブ、デザインという仕事のいまを共有し合おう。」をテーマにしました。今年は全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

社会現象とまで呼ばれるヒット作「全裸監督」のプロデューサーのたちばな やすひと氏に、株式会社dof ブランディング・ディレクター工藤拓真氏が話を聞きました。

他業種の人の話からデザインの新たな視点を見つけて欲しいというこの企画、「ストーリー」と「デザイン」の共通点を探る、知的好奇心を刺激される内容でした。

2人の乾杯からハイボールナイト第3夜スタートです

「全裸監督」のヒットの理由は?

たちばな氏は、有線ブロードネットワークス(現USEN)からTBS系制作会社を経て、2018年に独立しました。独立後最初の大きな仕事がNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」でした。

たちばな やすひと氏の主なプロデュース作品

社会現象と言われるほどヒットするとは全く想定していなかったばかりか、むしろ問題作として怒られるんじゃないかとたちばな氏は心配していたそうです。

Netflixでの配信が始まり、芸能人などインフルエンサーが面白いと言ってくれたこともきっかけとなって世の中に受け入れられていくのですが、ヒットの理由は「時代の閉塞感を打ち破る何かを人々が求めているところに刺さったんじゃないか」と、たちばな氏は感じたそうです。

ストーリー作りとデザインには近いところがある

理系出身というたちばな氏は、ドラマや脚本を作るのは「国語」なイメージがあったけれど、掘り下げて見てみると「算数」や「数学」だったりもすることに気付いたと語ります。

デザインは感性やセンスや才能のある人だけが作れるものではなく、ロジックや再現できるメソッドがあるはずで、それは物語のストーリーを作ることも同じだということです。

そこから、一般的な理論にたちばな氏独自の考えを交えつつ、ストーリーとは何かの解説をしました。ストーリーとは「主体がある時間を過ごし変化する 」ことだと、たちばなさんは定義します。

たちばな氏の考えるストーリーの定義について

工藤氏からの質問にも答えつつ「主体と主人公が違う場合がある、例えば『ドラえもん』や『ターミネーター』 」「受け手が主体と同じ変化を感じることもあれば違う変化を感じることもあり、それが共感と感情移入の違いにつながる」などの話をしましたが、どれも興味深い内容でした。

魅力的なキャラクターの条件とは

ストーリーの話に続いて、キャラクターの作り方についても解説しました。キャラクターには外的要素(見た目)と内的要素(性格など)がありますが、内的要素の「価値観」が一番重要とのことです。

キャラクターは役割を達成すればするほど魅力的になるそうで、それぞれのキャラクターが主体に働きかける役割をどれくらいまっとうしているかとも言いかえられます。

魅力的なキャラクターの条件を解説

そして、たちばな氏は「キャラクターをデザインしてストーリーをデザインし、結果それが一番良い形で相乗効果を持つときに素晴らしいストーリーができる」と総括しました。

ドラマカーブと役割のフォーマットはデザインにも生かせそう

工藤さんはたちばな氏の一連の話を聞いて、「ドラマカーブと役割のフォーマットが、コミュニケーションデザインやデザインの業務にも活きる」と感じたそうです。

ドラマカーブと役割の図

ドラマカーブとは、横軸を時間、縦軸を感情としたグラフで、最初右肩上がりで、そのあと一旦落ち込み、そこから再起してまた右肩上がりになるカーブを描きます。物語の最初にはCQ(セントラルクエスチョン)が提示されます。

ブランドもそれぞれCQを持っているし、ドラマカーブとそこに配置されるキャラクターたちの役割の理論が、広告やデザインでどれだけユーザーを引きつけられるかにも活かせるんじゃないかというのが工藤氏の見立てでした。

最後にたちばな氏は、脚本、監督だけでなく撮影や編集、音楽もつくってしまう映画監督・岩井俊二氏から聞いたエピソードを話してくれました。岩井氏曰く「究極を言えば絵が描ければシナリオも書けるし、音楽も作れる」とのこと、そこからビジュアルに落とし込むこと、デザインの重要性を感じていると語りました。

他業種、異業種の人の話から、デザイン領域のメソッドをためていこうという工藤氏の目論見通り、ストーリー作りを軸としたたちばな氏の話には、デザイナーのヒントとなる内容がたくさんある刺激的なものだったと思います。

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