経営戦略、中期IT計画を踏まえた社員のワークスペース変革の実践事例

J.フロントリテイリングの井関典克氏が、IT推進部門インフラ担当チームとして携わった「働き方改革」を実践するためのIT戦略およびオフィスインフラの整備を、オフィス移転プロジェクトでの施策を中心に紹介してくださいました。

働き方を変革して「発明体質」を企業文化に

J.フロントリテイリングは、大丸と松坂屋が経営統合することで誕生したホールディングスカンパニーで、パルコを傘下に持ちGINZA SIXなども手がけています。

「小売業の枠を超えてお客様のすべてのシーンでお役に立てる企業グループへ」という新たなグループビジョンを掲げ、「発明体質」を企業文化として根付かせクリエイティブな企業へと社内外の認知を上げることを目指し改革を進めているところです。

そのためには働き方を変革していくことが必要で、所定労働時間内に今までの仕事をできる限り行い、その上で発明する時間を作っていくことが目指す働き方の姿とのことでした。

オフィス移転プロジェクトでの働き方改革

2018年の八重洲から日本橋へのオフィス移転プロジェクトにおいて、働き方改革の施策としてのオフィス環境とデバイスの整備、柔軟な働き方へのITによる対応の紹介が今回のセッションの核心部分でした。

フリーアドレスに近いチームアドレスにより、部内を含め周りとコミュニケーションしやすくする、オープンコラボ／コミュニケーションスペースを準備し、会議室でなくても打ち合わせができ、いろいろな人とコラボレーションできる環境にするなど、具体的な施策を紹介しました。

実際のオフィスレイアウトの案内では、設計イメージと実際にできたものを画像で紹介するなど、貴重な資料を公開していただきました。デザインと実際に出来上がったものとの乖離がないように、デザイン会社なども交え繰り返しやりとりをしながら進めていったそうです。

IT戦略での取り組み

IT分野に関しては、モバイルPC環境の充実により、会議のペーパーレス化やテレワーク、在宅勤務など柔軟な働き方の実現を目指すこと、G Suite活用を深化して情報共有を促進することが施策となります。

モバイルワークとマルチデバイスで「仕事は事務所でしなくてはいけない」「長時間事務所にいる人は頑張っている」を否定し、ユニファイドコラボレーションで「直接顔を見なければ真意は伝わらない」「大事な会議は現地へ行かねばならない」に異を唱えるなど、脱却する考え方をまとめたものも有用な資料だと感じました。

利用しているサービス・デバイスの紹介と運用ポリシー

使用しているサービス、アプリケーション、デバイスの具体的な紹介は、特にシステム部門の人には参考になる内容だったと思います。

一部子会社を除きグループ会社全体でG Suiteを使い、グループチャットで情報交換が円滑になるなど効果が出ているそうです。また、パソコンはセキュリティ、柔軟な働き方への対応、持ち運びやすさの評価からChrome OSを採用し、それ以外の選択肢としてはMacを推奨というルールも興味深いものでした。

複数OSが混在する社内でのデバイス管理の考え方としては、OSを横断してのグループ共通ポリシーと、OS個別のポリシー、その上に会社別のポリシーと3段階のポリシーでグルーピングして柔軟性の高い運用をしているとのことです。

情報システム部門の立場として推進してきた働き方改革とそれに基づくIT領域での取り組みは、具体的な話が多く説得力のある内容でした。

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