design surf seminar 2019

創造性を仕事に取り入れるには〜アート思考とビジネス

レポート

2019.12.05

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町田裕治

株式会社ボダイ
代表取締役

1991年京都大学法学部卒業。同年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。大阪、東京、ソウル、上海の各支社勤務、次席共同経営者。その後、独立。2013年9月株式会社ボダイ代表として起業。「アート思考」研修、人事評価サポートアプリ事業「リガート」などを展開。 ISL経営ゼミ統括ファカルティ。京都大学産官学連携本部アドバイザー。2017-18年東京都顧問、都政改革本部特別参与。画家としてニューヨーク、東京を拠点に活動。1999年ニューヨークにて個展開催。

北川一成

グラフ株式会社
代表取締役/ヘッドデザイナー

GRAPH代表。経営者とデザイナー双方の視点に立った“経営資源としてのデザインの在り方”を提唱する。2016年、ネーミング、ブランディングを担当した「変なホテル」が「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネス世界記録に認定。AGI(国際グラフィック連盟)会員。ADC賞、TDC賞、JAGDA新人賞など受賞多数。出演にテレビ東京『カンブリア宮殿』、NHK『ビジネス新伝説 ルソンの壷』など。

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2019 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2019年10月18日(金)に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催しました。 4回目となる今回も、デザインをビジネスの側面から捉えた11本のセミナーを行い、たくさんの方に来場いただき盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

「創造性を引き出す」ニーズが高まる中、デザイン思考の次の一手として期待されるのがアーティストの発想をビジネスに生かす「アート思考」です。経営コンサルタントの町田裕治氏がアート思考の解説を行い、ゲストスピーカーの北川一成氏からはアート思考につながる発想や思考のヒントを話していただきました。

なぜビジネスにアートが必要なのか

町田さんによる、なぜビジネスにアート思考が必要なのかの話から、このセッションは始まりました。

ビジネスを論理だけで詰めてもいい答えが出づらい、「ものづくりからことづくりへ」と題目は出てもその先は難航するなどのビジネスの行き詰まりを、知性だけでなく感性を入れることで飛び越えていこうということで登場したのがアートを取り入れることです。

町田裕治さん(右)と北川一成さん(左)

一旦ビジネスの外に出てアートのことを学んだり体験することで、頭と身体がOSを変えるように変化することができないかと挑戦しているという説明でした。

アート思考をやった結果何が出てくる

アート思考を実践したあと、ビジネスの種が出てくるのが企業にとって一番大事ではあるけれど、何が出てきてもいいというのが町田さんの意見でした。

アート思考についていろいろな図を使い解説

アート思考の研修では、アート作品を作って見てもらうことをメインにしています。ビジネスのモデルを作って説得するより、アート作品を作って社内でしっかり見てもらう方が理解が早い可能性も高いとのことです。

アート思考から始めるのではなく、デザイン思考を最初に行い、次にアート思考をやった後でもう一度デザイン思考に戻ると、チームビルディングと成果が非常に短期間でできることが、これまでの研修でわかってきているという話もありました。

アートからビジネスパーソンが学べること

ビジネスへのヒントとして、以下のようなアートの発想を生かせないかという紹介がありました。

  • 定義された瞬間にそうじゃないものを作る
  • 何かをすることをアートだとすると何もしなこともアート
  • 作り手が作ったあとで鑑賞者が参加して完成させていく
  • 時間的に変化する

また、大学のアントレプレナーコースの支援をしているときに、アートはいろんなものの境界を繋ぐもので、地域社会とサイエンスの間にアートを置くとしっくりくるという話を聞いたことから、際(きわ)や境目にアートを使うのは大事な発想だと気付かされた話も印象に残りました。

アート思考の研修について

アート思考の研修では、チームで立体造形を作ります。ビジネスはチームで行うものなので、チームで議論することが大切という考えからです。

写真も交えて研修内容を紹介

また、立体造形で粘土を使うことを大事にしており、これは脳の中で手に対応する部分の面積が非常に大きく、粘土を捏ねてるだけでも脳が活性化されるからとのことでした。

実際に研修で作られた立体作品をいくつか写真で紹介しましたが、どれもユニークな発想で興味深いものでした。

アートには圧力が大事

北川さんは「アートには圧力が大事」と、家族に否定されるエピソードなどをコミカルに話しました。褒められると飽きるし、わかっているつもりがわからなくなることもあり、自らも否定の連続とのことです。

歯切れの良いトークで会場を沸かせた北川さん

「振り切ったことをやると否定される」経験のエピソードの数々は「ここだけの話」ということで、これまでの真面目な雰囲気から会場の空気が一転、笑い声が絶えませんでした。

子供のころ虹を取りに行こうとしたときの母親との思い出話から「圧力だけでなく愛も必要」と語り、ちょっとしんみりしたところで、このセッションは終了となりました。会場の皆さんにはどんな思いが残ったでしょうか。

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