探訪!オートデスク株式会社
岩本 崇氏
アドビ株式会社
フィールドプロダクトマネージャー
前田 勝規
株式会社Too
ソリューションサービス部 トレーニング課
Too Training Center Desi(デジ)講師
Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2022 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2022年11月1日(火)・2(水)・4(金)の3日間オンラインで開催しました。今年のdesign surf seminarは、デザインビジネスやクリエイティブの原動力になりそうなセミナーが集まりました。全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。
design surf seminarの直前に開催されたAdobe MAXから最新情報を紹介する、毎年恒例のセッションです。アドビ株式会社の岩本崇氏をお迎えし、TooのDTP・Webデザインスクール「Desi(デジ)」講師の前田とともに、Adobe MAX 2022の重要ポイントをデモを交えて解説しました。
今年のAdobe MAXはアメリカではリアルとオンラインのハイブリッドで開催されました。日本ではオンラインのみですが、アメリカと同時開催しました。日本でのキーノートは東京タワーにあるeスポーツ施設「RED゜TOKYO TOWER」で、最先端の合成技術を使い生配信で行われたというアドビ岩本さんによる裏話に興味津々のToo前田。和気あいあいとした雰囲気でセッションはスタートしました。
Illustrator新機能の目玉は「クロスと重なり」
まずはIllustratorの新機能「クロスと重なり」を紹介しました。最新のアップデートでの目玉機能で、重なり合う2つのオブジェクトで特定の箇所の前後関係を簡単に変更できます。
デモンストレーションでは文字とウサギの形のオブジェクトで説明したのですが、従来なら文字をアウトライン化して、重なり順を変えるところを部分的に切り貼りするなど作業にとても手間がかかるはずです。初めてこの機能を動画で見たとき、家で思わず声が出たという前田の発言もうなづける、Illustrator歴が長い人ほど驚くであろう機能でした。
「クロスと重なり」は非破壊というのも大きなポイントです。重なり順を変更した後でオブジェクトを移動しても上下関係は維持されますし、あとからフォントの変更などもできます。
なお、「クロスと重なり」を適用したオブジェクトは、印刷用に使う場合には最終的に「分割・拡張」をする必要があるといった注意点も紹介しました。
「レビュー用に共有」でデザイン確認作業をスムーズに
「共有」ボタンから選べる機能として、コラボレーションに便利な「編集に招待」のほかに「レビュー用に共有」が追加されました。「レビュー用に共有」を使うと、自動でクラウド上にファイルがアップされて、招待された人はブラウザ上でデザインの確認ができます。公開範囲の設定により、Creative Cloudグループ版なら社内だけでの共有ができますし、リンクを知っている人全てが閲覧&コメントできる設定にもできます。
クライアントや上司などデザインをレビューする側はIllustratorを立ち上げる必要はなく、スマートフォンやタブレットでも確認&コメントができるので便利です。デザイナー側はクラウドのツールを使う必要はなく、Illustrator上から離れることなくフィードバックを確認できます。この機能はもともとInDesignに搭載されていた機能が、今回、IllustratorとPhotoshopにも追加されたとのことでした。
Photoshopのオブジェクト選択機能の進化
Photoshopではイメージの中から自動的にエリアを選択してくれる、「Adobe Sensei」のAIを利用したオブジェクト選択機能がさらに進化しました。デモでは、写真の植え込み部分の左側と右側を同時に選択できることに前田が気づき、Adobe Senseiの威力に驚いていました。植物や水など複雑な形状のものも、以前より自然に選択できるようになったそうです。
また、オブジェクト選択ツールで選択したあと、Shift + Delete (WindowsではShift + Backspace)で写真に写り込んだ人物を消してしまう処理を紹介しました。これは新規に追加されたキーボードショートカットによる処理で、従来より少ないステップで画像の中の不要なものを消すことができます。
ほかにも、ニューラルフィルターの「写真を復元」の機能紹介や、進化を続けるPhotoshop Web版のデモも行いました。
新技術紹介のSneaksとブレイクアウト セッションも見どころ
Adobe MAXの中でも毎年注目を集めるのが、開発中の新技術を開発者が自ら紹介する「Sneaks」セッションです。ここでは、動画から自動で文字起こしをしてくれる機能や、テキストにシェイプをスムーズに融合してロゴなどを作れる機能などがありましたという口頭だけでの紹介にとどめました。
Sneaksはアドビの社員も直前まで内容を知らないとのことで、岩本さんは、「アプリケーション上で動いている(デモが見られる)のは、結構実装が近いんじゃないか」という見方をしているそうです。
キーノート、Sneaksのほかにも、数多くのスピーカーの方が登場するさまざまなブレイクアウト セッションもAdobe MAXの見どころです。岩本さんはAdobe Fontsのセッションを担当したとのことで、Adobe Fontsの最新情報と活用法を紹介しました。
Adobe MAXのキーノートや各セッションはアーカイブ動画で見られるので、興味のある方はぜひご覧ください。
「PDF&出力の手引き」は日本だけのドキュメント
二人のイチオシの新機能を知りたいという質問に、岩本さんは「やはり『クロスと重なり』」、前田は「InDesignのデータが(MacのFinderやWindowsのエクスプローラーで)プレビューできるようになったのがうれしい」と答えました。
英語名「Intertwine」を日本語版では「クロスと重なり」と命名したのが岩本さんという「初出し」の情報に前田が興奮するなど、終始二人の掛け合いが楽しいセッションでした。
最後に岩本さんから、ブログで情報発信しているのでぜひ見てほしいというお願いが。特に、安心な印刷データ運用を実現するために踏まえておきたい必要な情報をまとめた「PDF&出力の手引き」は、デザイナー必見の内容になっています。毎年アップデートしているこのドキュメントは、日本だけで作っているものと岩本さんから聞き、前田は驚いていました。
Adobe MAX 2022 Creativity Conference | 2022年10月19・20日開催
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PDF&出力の手引き2023
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