design surf seminar 2022

Sanrio Virtual Fes in Sanrio Puroland~サンリオの新たな挑戦~

レポート

2022.12.21

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町田 雄史

株式会社サンリオ
ライセンス営業本部 第6営業部 ゼネラルマネージャー 兼 新規事業開発室

2008年株式会社サンリオ入社。これまでデジタルライセンス事業、新規IP事業、エンタメ事業等に従事。2012年音楽をテーマとした新キャラクタープロジェクト「SHOW BY ROCK!!」を立ち上げ、2022年には10周年を迎えた。新しいエンターテイメントの追求から、VR初心者であるにも関わらず、2021年VR上の音楽フェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」を立ち上げ。現在はデジタルコンテンツを中心に新規事業を担当。「みんな」が一緒になって楽しんでくれること。驚いてくれること。ワクワクすること。笑顔になってくれることを探して、ポップにファニーに奮闘中。

佐藤 哲

株式会社サンリオエンターテイメント
エンターテイメント企画・制作部 制作課長

2002年株式会社サンリオエンターテイメント入社。企画制作・プロデュース業務を担当。ピューロランド初のオールナイトイベント、ホラーイベントの企画プロデュースを始め、様々なショー・アトラクション等を立ち上げる。2022年には、リアルとバーチャルで同時にショーが開催される「NakayokuConnect」を企画プロデュース。「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」では企画制作を担当。

三上 昌史

株式会社Gugenka
代表取締役CEO

初音ミク公式バーチャルテーマパーク「MIKULAND」やサンリオ初のバーチャル音楽フェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」、NTTのDOORで「人気アニメのバーチャル展示」などメタバースイベントのプロデュース。日テレVTuberネットワークV-Clan顧問や各社XR事業のアドバイザーとしてXR分野において新規事業立案、コンテンツプロデュース。自身が代表を務めるGugenkaでは日本アニメ公式キャラクター数世界一のデジタルフィギュア「HoloModels」やVRChatと日本初連携したアバター作成ツール「MakeAvatar」などを提供。

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2022 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2022年11月1日(火)・2(水)・4(金)の3日間オンラインで開催しました。今年のdesign surf seminarは、デザインビジネスやクリエイティブの原動力になりそうなセミナーが集まりました。全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

メタバース商業イベントとしては世界最大級となる音楽フェス「Sanrio Virtual Fes in Sanrio Puroland」を開催したサンリオ。中核メンバーとしてプロジェクトに携わった町田雄史氏、佐藤哲氏、三上昌史氏が登壇し、この大きな挑戦の裏側について語りました。

コロナ禍以前からはじまっていたバーチャルイベントの模索

2021年12月11日、ソーシャルVR「VRChat」上につくられたバーチャルな「サンリオピューロランド」にて、「Sanrio Virtual Fes in Sanrio Puroland(サンリオバーチャルフェス イン サンリオピューロランド)」が開催されました。この音楽フェスはリアルアーティスト、バーチャルアーティスト、そしてサンリオキャラクターらが一同に会し、巨大な仮想空間の中でライブを繰り広げるという一大メタバース商業イベントです。

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セッション中、「メタバースの流れに乗ろうとしたんだろうとか、コロナ禍の在宅需要を狙ったのでは、という質問をよく受けるんですが、違うんですよね」と、サンリオの町田氏は苦笑い。

サンリオピューロランドでは2014年頃から、さまざまなアーティストとコラボレーションした音楽フェスティバルのようなリアルイベントを開催しはじめていました。そのイベントの延長線上で「バーチャル空間で同様のエンターテインメントを提供できないか」という模索が生まれたそうです。実際に今回のバーチャルフェス・プロジェクトが立ち上がったのは、2019年のことでした。

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これまでメタバース空間で提供されてきたライブやイベントは、完成した映像コンテンツを参加者が見にいく、という形式がほとんどでした。しかし今回サンリオは「分散したコンテンツをそれぞれが見る」のではなく、リアルで開催される音楽フェスのように「リアルタイムで行われているコンテンツを、大勢が1つの場所に集まって見る」ことにこだわりました。

その根幹にあったのは「参加者同士が集まった場でコミュニケーションを取りながらイベントを楽しむことが、エンターテインメントの真髄である」という想いだったといいます。

3DCG技術により、VRChat上に巨大なフェス会場が登場

では、メタバース空間で開催された本フェスでは、参加者にどのような体験を提供したのでしょうか。

まず「VRChat」上に、5つの地下フロアからなる巨大なフェス会場がつくられました。実在するサンリオピューロランドの地下空間にあるという設定で、3DCGによって現地を訪れたような感覚を味わうことができます。

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参加者は自身のアバターを作成し、会場内を自由に移動して、ライブを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったりすることが可能です。

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舞台上で繰り広げられるライブパフォーマンスにも、さまざまな演出が詰め込まれていました。例えば、サンリオキャラクターやバーチャルアーティストと、リアルアーティスト(実写)の舞台上での共演などがその一例です。クロマキー技術の応用により、同じ空間にバーチャルアーティストとリアルアーティストが存在し、一緒にパフォーマンスを行っているステージを作り上げました。この試みは、技術的にもかなりの挑戦だったそうです。

また専用のゴーグルやゲーミングPCを保有していない人でも気軽に参加できるよう、複数の体験設計が準備されていました。例えばスマホやノートPCなど、一般的に普及しているデバイスから視聴している人も楽しめるように配慮し、舞台上の演出からカメラワークまで徹底して作り込んだそうです。

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イベントの醍醐味は、参加者同士の「コミュニケーション」にある

ライブパフォーマンス以外の部分でも、コミュニケーションを重視したさまざまな工夫が凝らされていました。アバターが歩き回れるフロアにはフォトスポットや交流スペースなどが設けられました。ファンの中から募集したバーチャルワーカーが、スタッフとして参加者を案内するような仕組みもあったのだとか。

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バーチャルフェスの開催後サンリオピューロランドのリアルイベントにも変化があったといいます。すでに、現地でのショー開催時刻に合わせてバーチャル上でもパフォーマンスを展開し、それらが一つになるコンセプトのイベントを行っています。リアルで実現できることだけで演出するのではなく、リアルとバーチャルの融合がどんどん進んでいるそうです。

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本セッションでは、プロジェクトに携わったお三方が終始とにかく楽しそうに、熱量高くお話されているのが印象的でした。「Sanrio Virtual Fes in Sanrio Puroland」は現在、第2回の開催を目前に控えています。次のイベントがどのような進化を遂げているのか、非常に楽しみです。

© '22 SANRIO SP-M


株式会社サンリオ
株式会社サンリオエンターテイメント
株式会社Gugenka
Sanrio Virtual Fes in Sanrio Puroland

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