design surf seminar 2022

キラピカの紙のつかい方

レポート

2022.11.22

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村木 貴久子

五條製紙グループ ジー・ピー・エス株式会社
デザイン部課長 アートディレクター

宇都宮 辰徳

五條製紙グループ ジー・ピー・エス株式会社
デザイン部課長代理 デザイナー

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2022 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2022年11月1日(火)・2(水)・4(金)の3日間オンラインで開催しました。今年のdesign surf seminarは、デザインビジネスやクリエイティブの原動力になりそうなセミナーが集まりました。全国からたくさんの方にご参加いただき、オンラインながら盛況のうちに幕を閉じることができました。当日のセミナーレポートをお届けします。

町中には、思わず商品を手に取りたくなる魅力的なパッケージやPOPがたくさんあります。それらを作る上で欠かせない「紙」。見る人の心をつかむ紙を生み出している、五條製紙グループ ジー・ピー・エス株式会社 デザイン部課長の村木貴久子氏と、デザイン部課長代理の宇都宮辰徳氏に、キラキラ・ピカピカした特殊紙の中から、シルバー紙の使い方や効果をお話しいただきました。

このセッションでは、紙の見本帳やパッケージのサンプルなどをモニター越しに見せていただきながら、紙の魅力をじっくりご紹介いただきました。

美しさと機能性を兼ね備えた紙を製造する

静岡県富士市、富士山の麓に本社を構える五條製紙様。清らかな水が豊富な環境で、美粧性や機能性に優れた「板紙」を製造されています。見た目の美しさだけでなく、印刷加工適性に優れ、箔押しやエンボス加工などもきれいに施されるように工夫を重ねていることから、五條製紙様の紙は紙箱パッケージに最適だそうです。まずは、紙のシリーズをいくつか紹介していただきました。

一つ目は、代表的ブランドでもあるSPECIALITIESについて。パール調の紙や、目を引くようなホログラム紙、鏡のように輝くシルバー紙、色がついたメタリックな紙など、アイキャッチ性に非常に優れた紙が集まっています。

gojo_dso4.png存在感があるSPECIALITIES。今回ピックアップされるシルバー紙もこの中の一つです。

そのほか、ナチュラル指向な製品のパッケージなどに多く使われるLOVE NATURAL、印刷加工性に優れながらもサトウキビの搾りかすを活用することで環境にも配慮したHYBRID BAGASSE、昨今のコロナの影響で高まった衛生観念にも応えられる抗菌紙など、バリエーション豊富な紙を製造されています。

変幻自在な表現が魅力のシルバー紙

今回ピックアップされたのは、SPECIALITIESのシルバー紙です。シルバー紙は、印刷加工によって変幻自在な表現が可能な点が魅力の一つです。たくさんのサンプルを見せていただきながら、使い方やその効果を紹介していただきました。

まずは、紙地をそのまま使う方法です。シルバー紙は美しい面感を持ち合わせているため、印刷面はあえて最小限に抑え紙を大胆に見せることで十分に存在感を発揮します。シンプルですが紙そのものに力があるため、ブランドロゴを1つ入れるだけでもパッケージとして成り立つとのことです。

gojo_dso.png

そして、白インクを使う方法。シルバー紙の上に白ベタとして印刷する方法と、白インクを下地に使う方法があります。下地に白インクを使うと上に乗せられた色が際立って見えることから、絵柄を目立たせたい場合に効果的だそうです。

白インクの濃度を変えることによっても見え方が変わります。白インクを100%引くとシルバーの光沢が完全に消えますが、白の濃度を下げることでシルバー紙特有の光沢を残しつつ、色も際立つ強弱ついた動きを見せることができます。絶妙なバランスで紙の魅力を最大限に発揮できる手法とのことで、村木氏も「白インクはシルバー紙の肝でもあります。」と語ります。

gojo_dso2.png下地に白インクを使ったサンプル(左)と、紙地を活かしたサンプル(右)

シルバー紙の裏面を外側に出して鏡面を内側にする、裏面を効果的に使う方法も紹介されました。「パッケージの醍醐味は開ける瞬間にもあります。」と話す宇都宮氏。一見すると変哲のない白い箱ですが、開いた瞬間にシルバー紙が輝くため、サプライズ感を演出できる手法だそうです。

gojo_dso3.png箱を開くとシルバー紙の鏡面が現れます。

そのほか、すりガラスのような上品な仕上がりになるマットPP加工、色作りで擬似的にさまざまな金色を作る方法、LOVE NATURALなどのノーコート紙と組み合わせたり、ハジキニスでツヤ部分とザラザラな部分を表現する方法、凹凸をつけるエンボス加工など、全部で8種類の使い方が紹介されました。

見て触って作れるギャラリー

シルバー紙の効果をたっぷりお話しいただきましたが、「カメラ越しだけではどうしても伝えきれない部分があるので、ぜひ皆さんにもその魅力を直接見て知っていただきたいです。」と語る村木氏。五條製紙様が扱っているすべての紙を、見て触れて購入できるショールーム「GOJO PAPER GALLERY」が、東京と大阪にあります。サンプルの展示や、実際にその場でサンプルを作成できるマシンもあることから、アイデアを見つけに訪れる方も多いとのことです。

ショールームはイベントスペースとしても利用可能で、セミナーやワークショップも定期的に開催されています。2022年12月末まで、シルバー紙を活用したワークショップの作品展示も開催されているとのことです。五條製紙様の各種SNSやホームページから随時情報発信されていますので、皆さまもぜひチェックしてみてください。

セッションは村木氏と宇都宮氏の和やかな掛け合いで進み、お二人の自社製品への愛が存分に語られました。視聴者の皆さまからは、「今まで想定していなかった活用方法を知ることができました。」「今後のパッケージ作成に役立つ内容でした。」などの感想がたくさん寄せられました。シルバー紙の使い方が広がり、アイデアが溢れ出てくるセッションになったのではないでしょうか。


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