探訪!オートデスク株式会社
樋口 牧子氏
株式会社スタヂオ・ユニ
クリエイティブディレクター
2000年、スタヂオ・ユニへグラフィックデザイナーとして入社。現在はプロモーションの企画や制作をはじめ、VMDなどのトータルディレクションを手がける。「デザイナーはエンターテイナー。どんな時代でも“わくわく”を生みつづけたい。」
佐藤 翔吾氏
株式会社博報堂プロダクツ
統合クリエイティブ事業本部 アートディレクター
2014年、多摩美術大学卒業。同年、株式会社博報堂プロダクツ入社。デザインやパフォーマンスなど様々な方法で「人のココロを躍らせる」ダンシングアートディレクター。身も心もソソイヤ!ソイヤッ!
三上 峰生氏
公益社団法人日本広告制作協会
本セッションの企画・構成
Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2023 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2023年11月10日(金)に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催しました。8回目となる今回は、4年ぶりのリアル開催です。コミュニケーションの手法や創造の手段に挑戦した方々による8本のセッションを行い、盛況のうちに幕を閉じました。当日のセッションレポートをお届けします。
4年連続参加となる、公益社団法人日本広告制作協会(OAC)所属のクリエイターが登壇するこのセッション。今年のテーマは、身体とクリエイティブの関係性について。昨年までのオンラインセッションとは異なり、参加者の皆さまに体を動かしてもらったり、コミュニケーションを交わしてもらったり、手で描いてもらいながら、学ぶのではなく感じ取ってもらうセッションとなりました。
登壇者はお馴染みの、株式会社スタヂオ・ユニ 樋口牧子氏と、株式会社博報堂プロダクツ 佐藤翔吾氏です。
カラダと脳をリラックス
まずは、カラダと連動している脳の動きに触れました。「心地いい」「怖い」などの感情で動く脳と、「それはなぜだろう」と理性をもって考える脳。この2つの脳は連動し、クリエイティブには欠かせません。世の中を賑わせているAIは、外付けの脳と言えそうだと樋口氏は述べます。
このセッションではプログラムが出されていません。これから何をするのか「不安」を感じる脳と、「冷静になれば大丈夫!」と理性的に考える脳のせめぎ合いも、ぜひ楽しんでほしいと呼びかけられました。
まずは脳を刺激するために、体操からスタートしました。人類の進化をテーマに、単細胞生物の誕生から人類になっていくまでの過程を、佐藤氏が振り付けました。最初は戸惑う表情を見せていた参加者の皆さまですが、徐々にリラックスして会場からは笑い声が聞こえるようになりました。
五感をフル活用してクリエイティブを刺激する
血流が巡ってきたら「自己紹介」の時間です。ペアを作り、会社名や職業などの情報は伝えずに、自分を表現します。カラダを動かしたあとだからなのか、初対面同士でも盛り上がっていました。
続いて、いま自己紹介した相手の似顔絵を、記憶を頼りに描いてみます。見た目の特徴だけでなく、自己紹介で知った相手の内面部分が滲み出てくるといいですね、と佐藤氏からコメントがありました。3分という短い時間でしたが、クリエイティブに携わる皆さんの作品は、どれもしっかり観察されていて、特徴をとらえているものばかり。似顔絵をお互いに交換してみると「似てる!」「私ってこんな感じなんだ」と至る所から感想が聞こえてきました。
続いて、皆さまもよくご存知のキャラクターや、企業のロゴを、記憶を頼りに描いていきました。普段からよく目にするはずなのに意外と描けなかったり、反対に全員が描いている特徴部分があったりと、描くことでの気づきがあったようです。
ここまでの次から次へと出されるプログラムによって、たくさんの刺激的な経験をしました。こうしたインプットの積み重ねがアウトプットにつながるという樋口氏のコメントを受けて、最後の課題に移ります。
最後の課題は「自己紹介ポスター」の作成。一番良く知っているであろう自分を、絵と言葉だけで表現し、ポスターを使って自己紹介します。自分の顔や趣味に励んでいる様子を描いている方、キャッチコピーを書いている方、ロゴを作っている方など、さまざまな手法で自分を表現していました。なんと偶然、ペア同士で共通するメッセージを書いた方がいたりと、意外な発見が会場で生まれていました。
好奇心を大切に
プログラムが一通り終わり、サルヴァドール・ダリの作品「記憶の固執」が映し出されました。この絵の大きさは24cm×33cmと意外と小さく、ダリはこうした思い込みを裏切るような作品を数多く世に出していたそうです。
そこから佐藤氏は、今回のセッションを通して「自分のイメージと相手のイメージは思った以上に違ったり、手を動かして描いてみると予想外の気づきがたくさんあったはず。好奇心旺盛にチャレンジすることが、新たな気づきが生まれるきっかけになるのではないか」と語りました。
最後は「そろそろ終了だろう」と思っていた会場の皆さんの期待をダリのように裏切り、最初の体操をもう一度!仲良くなった人と顔を見合わせてポーズを取ったり、皆さん1回目よりも大きく体を動かし、会場は大きな笑い声で溢れていました。
「固定概念にとらわれず好奇心旺盛に、カラダを、五感を、フル活用してアウトプットしていきましょう!」という、佐藤氏と樋口氏の力強いメッセージでセッションが締めくくられました。
セッション後には、ペアで連れ立ってハッピーアワー(懇親会)に向かったりと、偶然生まれた出会いを楽しんでいる参加者の姿があちこちで見られました。今日得られた感動が新たなチャレンジの原動力になる、そんな背中を押されるようなセッションでした。
公益社団法人日本広告制作協会(OAC)
株式会社スタヂオ・ユニ
株式会社博報堂プロダクツ
この記事に付けられたタグ
design surf seminar 2023 記事一覧
関連記事
【design surf seminar 2023】Whateverが「見たことがないもの」を生み出し続けられる理由
2024.01.12
【design surf seminar 2023】設計事務所における横断型クリエイティブについて
2023.12.28
【design surf seminar 2023】10年でどう変わった? デザインとあの(業務・お金・知財・契約)話 ~実態調査アンケートから読み解くデザイン業界のリアル~
2023.12.26
【design surf seminar 2023】拡張する空間概念 地中から空中まで
2023.12.25
【design surf seminar 2023】ソニー・ホンダモビリティにおける新たな共創デザイン開発
2023.12.21
【design surf seminar 2023】Vision To The Future:日本の未来をどうデザインしていくか
2023.12.07
【design surf seminar 2023】Adobe MAX最新情報と人工知能が目指す道 ~アドビの岩本さんに聞いてみよう!~
2023.12.05