デザイン本来の価値を先駆けて伝えたい。設立50周年を迎える日本広告制作協会様

インタビュー

2023.08.31

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公益社団法人日本広告制作協会
(右)理事長  名久井 貴詞氏
(左)専務理事 宇垣 恵一氏

「クリエイティブのチカラで社会に元気を!」をスローガンに掲げている公益社団法人日本広告制作協会(OAC)様は、2024年2月に協会設立50周年を迎えられます。いま取り組まれていることや今後のチャレンジを、2023年6月に新理事長に就任された名久井貴詞さん(以下、敬称略)と、専務理事の宇垣恵一さん(以下、敬称略)に伺いました。

社会を豊かにするクリエイターを育てる

Too:さて、2024年に設立50周年を迎えられますが、どのようなテーマを掲げているのでしょうか。

宇垣:50周年を機にOACをさらに楽しく元気な協会にしたいという構想は、何年も前からありました。ここ数年のコロナウイルスの流行など、クリエイターにとって気持ちが落ち込むこともありましたが、みんな共通していたのは、若手を育てていく場として生まれ変わりたいというものです。若い人が活躍できる環境を、いろいろな手段で作っていこうと考え、まずはOACを引っ張ってもらえる人をということで、名久井さんに新理事長として就任していただきました。名久井さんは僕らが言葉にできなかったことを、説得力を持って説明できる方です。その姿勢を我々も日々勉強させてもらっています。

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名久井:新米理事長の名久井です。僕自身は長年企業の中のクリエイターとして働いていましたが、入社当初はまったく喋れなかったんです。デザインをロジックで語りながら、心情や情緒も含めてどうハートで理解しプレゼンするかを鍛え上げられました。

今までは人のため家族のためを中心にしたクリエイターであった私ですが、2022年に会社を卒業し、宇垣専務理事からの依頼もありOACに参加しました。

私自身、デザインという概念は、産業革命を期に生まれたと学びました。そのデザインの本来の役割は、生活に豊かさや潤いを与えて人を楽しませることだと言うことです。デザインやクリエイティブを目にすると、みんな喜んでくれますよね。社会を豊かにできる力をクリエイターは持っているはずなのです。と言うコトで、デザイン本来の価値をクリエイターやその卵たちに先駆けて伝えていける団体になれたらと思っています。

課題の本質部分に考えを巡らす

Too:協会の話とは変わりますが、広告業界全体の傾向や、クリエイターにいま求められるのはどのような力なのか教えてください。

宇垣:クリエイティブの仕事は近年ガラッと変わってきています。広く告げるということから個人やある集団をターゲットとする手法に幅広く変化し、さらに広い意味のデザインとして、地域活性化のために地域に根ざした活動を始める人も出てきました。一方で、クライアントが抱える課題の解決方法を提案し、形にしてトータルでサポートするという根底の部分は今も変わっていません。

名久井:広告の在り方が変わってきたいま、大事なのはデザインの「提案」をどう定義するかです。日本におけるデザインは「意匠」と認識されていることがほとんどですが、英英辞典で「デザイン」という言葉を調べると、書いてあるのは「意図的に」「設計・計画する」など、とても戦略的な言葉です。それを踏まえると、デザインを提案するということは、見た目を整えるだけではなく、課題の裏側に隠れている本題は何か考えを巡らし提案することです。

海外で仕事をしていたことがあるのですが、皆さん議論が好きで、とにかくたくさん質問が飛んでくるんです。デザイナーでありながら幅広い知識があって、教養レベルや社会問題に対する意識がとても高いです。日頃から人種や宗教など、いろいろな課題と直面しているからなのだと思います。島国である日本は独特の成長の仕方をしてきたがゆえに、デザインの本質的な機能に食い込み切れていない面もあると考えます。

地球が狭くなったと言われる現代で、世界と関わって新しいものを作っていくデザイナーとして存在するのであれば、視点を変えていく必要もあります。依頼主も気がついていなくて言葉にできていない本質的課題は何なのか、疑問を持って突っ込める力がないと、それこそAIに取って代わられてしまいます。とは言いますが、僕自身も数多く課題の本質部分に気が付いていなかった事例もあり、まだまだと反省を繰り返しながら勉強の毎日ですね。

次の50年に向けたアクション

Too:50周年に向けて、魅力的なアクションを構想中だとお聞きしました。ぜひ教えてください。

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宇垣:50周年記念として「未来を拓くニッポン・デザイン展」を開催予定です。例えば、NASAが開発した太陽パネルのベースとなったミウラ折りや五重塔の構造から学んだ東京スカイツリーの心柱、塩漬けの鮭を吊るして熟成させどの部位も余すことなく食べられる塩引鮭など、日本の伝統技術・文化はSDGsの最たるものです。西洋の技術や文化が注目されがちですが、実は日本人が昔から自然と取り組んでいたことが重要だったりします。そんな日本の魅力やチカラをデザインの視点から再発見し表現することで、デザインが持つ大きな役割と価値を改めて社会に示すという企画です。

そのほかにも、コンソーシアム構想を検討中です。OACの中にはさまざまな得意分野を持った会員さんがいます。OACを中心として、異なる業界や他の協会に所属している皆さんの得意な部分を組み合わせて、仕事につなげるサポートができたらと考えています。意外な組み合わせによって新たなつながりが生まれたら面白いですね。

名久井:従来型に捉われないことが大切です。氷の状態から湯気が出るぐらいとろとろな状態になるように、OACの在り方もどんどん柔軟にしていければと思います。


OACさんはアワードやセミナーなど、学生さんや会員外の方も参加できる企画もたくさん用意されています。50周年に向けたアクションが待ち切れない方は、ぜひチェックしてみてください。

公益社団法人日本広告制作協会(OAC)様
過去のOAC様インタビューはこちら
「未来を拓くニッポン・デザイン展」はこちら

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