探訪!オートデスク株式会社

伊藤明里先生
郁文館夢学園ID学園高等学校
郁文館夢学園ID学園高等学校(以下、ID学園)は、通信制と全日制を組み合わせた新しい学校として、生徒一人ひとりの個性を受け入れ、活かす教育活動を展開されています。今回は、生徒の将来の選択肢を増やすための取り組みやデザインスキルを学ぶことで身につく力について、企画部の伊藤明里先生にお話を伺いました。
取材当日は、ID学園の起業・ビジネスコースに所属する生徒とアドビのデザイン講習を受講した生徒がTooのオフィスを訪問しました。コピックやアドビ製品をテーマにしたワークショップに参加してくださいました。
夢へのフライングをサポートする「夢教育」
Too:今日の企業訪問では、どの生徒さんも積極的に参加されていたのが印象的です。まずは改めて、ID学園について教えてください。
伊藤先生(以下、敬称略):本校の教育目的として、生徒に「夢を持たせ、夢を追わせ、夢を叶えさせる」という「夢教育」を掲げています。企画部の大きな役割は、生徒の夢へのきっかけや経験になるようなプログラムを作り続けることです。私自身は今年、生徒の海外進学の支援や、デザインの分野に興味がある生徒向けにアドビ製品の講習を担当し、生徒が時代に沿った挑戦ができる機会と環境を提供しています。
Too:ID学園では、生徒一人ひとりに最適な学びを提供されているそうですね。
伊藤:2020年の開校当初は数名の生徒からスタートしましたが、現在は1,700名以上が在籍しています。コロナ禍を経て、毎日教室に通うことだけが学びの選択肢ではないという価値観が広まった影響も大きいと思います。本校では通信制高校ならではの特徴を活かして、生徒それぞれが学びたいことを中心に学べる環境を大切にしています。例えば、将来美容師を目指す生徒がいるとしたら、その夢を尊重して高校生のうちから専門分野の勉強を始めてもいいよね、という具合です。実際にID学園に所属しながら専門学校に通っている生徒もおります。このような考え方を私たちは「夢へのフライング」と呼んでいます。
将来どのような選択をしても求められる「課題解決」の力
Too:高校生のうちから将来の夢にじっくり向き合えるのは貴重ですね。今年度、デザインの分野に興味がある生徒に向けてアドビの講習を行ったと聞きました。
伊藤:イラストや動画編集、色の使い方や配置などのデザインスキルを学ぶことで得られる力は、大きく2つあると思っています。1つはコミュニケーション能力の向上です。文字だけでなく視覚的な表現も駆使して情報を発信できれば、物事を人に分かりやすく伝えられるようになります。人に伝えるためには相手の視点に立つ姿勢も必要ですから、相手を思いやる力も身に付くのではないかと思います。
もう1つは、副次的な効果かもしれませんが、自分が表現したいことを深く掘り下げて考えるクセがつくことです。デザインというのは課題解決のための手段の一つです。自分は何に課題を感じ、どう解決したいのか、解決のために最適な表現は何か…という、ものごとの根源的な部分にじっくり向き合う経験が得られます。自分の考えを理解して表現するのは意外と難しいことなので、学校生活の中でそうした機会に触れることを大切にしています。
生徒が将来どのような選択をしても必要となる創造性を養うために、アドビ製品の使い方を学んで動画やポスターを成果物として作る授業を、Tooさんを講師に招いて開催しました。本校ではクリエイティブに直結するスキルを身につける授業を初めて開催しましたが、自分の考えを表現する手段の幅を、デザインツールの活用を通じて広げられたのではと感じています。
将来のキャリアの解像度を上げる企業訪問
Too:今日は企業訪問ということでTooのオフィスにお越しいただきましたが、その目的を改めて教えてください。
伊藤:今回は将来のキャリアへの解像度を上げることを目的に、Tooさんに訪問しました。アドビの講習でスキルを身につけた次のステップとして、企業でアドビ製品がどのように使われているかを見てもらうことで、身につけた力が将来どう役立つのかを実感してもらいました。
プログラムではオフィス見学に加えて、コピック制作体験、色彩論ワーク、販売戦略を考えるワークショップに参加しました。アナログ画材で紙に描く体験はとても新鮮だったと思います。ワークショップでは、デジタルVSアナログ決戦として、アドビとコピックの販売戦略をチームで考え、発表しました。デジタルとアナログそれぞれの視点に立って、ツールを販売する側の思考プロセスを擬似体験できました。
最後に生徒にアンケートを取ったのですが、「普段絵を描く機会はあるか」など、これまで得られなかった生徒の傾向をデータとして知ることができました。生徒が必要とする講座を作っていくためにも、引き続きTooさんには今回の企業訪問やアドビ講習のように、生徒の夢のきっかけになる提案をしてもらえると嬉しいです。将来のキャリアの選択肢が広がる体験ができるように、プログラムの充実を目指していきたいです。
Too:高校生のうちから将来のキャリアについて考えている皆さんの姿勢を見て、私も背筋が伸びる思いがします。そんな皆さんの夢の実現のお手伝いが少しでもできると嬉しいです。伊藤先生、ありがとうございました!
郁文館夢学園ID学園高等学校
ID学園高等学校様でも、今回の企業訪問についてレポートにまとめてくださっています。こちらの記事もぜひご覧ください。