【現場を変えるMobilityのアイデア】第31話:腹落ち感が生み出す研修の価値
皆さまの使っているツールが提供される背景をメーカーさんに取材するシリーズ。今回は、Apple専用のデバイス管理とセキュリティのプラットフォームを提供する、Kandji Japan株式会社にお話を伺いました。
デバイス管理における運用効率の向上を目指すKandji
Too:デザイン・クリエイティブ業界で制作業務を長年支えてきたAppleデバイスは、そのパフォーマンスの高さから一般企業でも使用されることが増えてきています。Appleデバイスを企業で安全に使用するうえで、デバイスの管理は欠かせません。 Appleデバイス管理における複雑なワークフローをシンプルに解決する御社について教えてください。
日下部さん(以下、敬称略):Kandjiは、2019年にアメリカで創業され、Apple製品のみに対応したデバイス管理ツール(以下、MDM)の「Kandji」を提供しています。私たちが一番の目標として掲げているのが、デバイス管理における運用効率の向上です。企業のデバイスを管理する方の手を煩わせることなく、やりたいことを実現できるようなツールの提供を目指しています。
例えば、アプリを全従業員に配布する時、さまざまな操作が必要になるツールが多いですが、Kandjiはボタンひとつで実行できます。また、デバイスのセキュリティを確保することもMDMを使用する目的の一つだと思います。Kandjiはセキュリティの強化もボタンひとつで可能にする、洗練されたUIづくりに重きを置いています。
2024年8月からは日本での展開を開始し、その後約半年ですべてのUIを日本語化しました。日本の皆さんにとっても、使いやすいツールとなるよう心がけています。
複雑だったものをシンプルに。ユーザーの使いやすさを重視
Too:すでに多くのMDMが展開されている中での市場参入だったと思いますが、どのような背景があったのでしょうか?
日下部:Kandjiが創業された頃、「十徳ナイフ」のようなMDMが多くありました。十徳ナイフはいろいろなことに使えるツールですが、すべてのツールを常に使うかというとそうではありません。頻繁に使うものもあれば、あまり使わないものもある中で、よく使うものを使いやすくする必要があると考えていました。
マーティンさん(以下、敬称略):既存のMDMは、機能がパワフルでも、簡単にできるはずのものが複雑であったり、専門的な知識を要する製品が多くあります。当社の社長は、Kandjiを設立する前、他社のMDMを使ってお客様のAppleデバイスの管理をサポートしていました。その中で、デバイスの管理がもっとシンプルで簡単にできたらという課題を感じたことが、Kandjiが誕生のきっかけとなりました。
Too:実際にMDMを使ってお客様のAppleデバイスを管理していたからこそ、ユーザーに寄り添った製品が生まれたのですね。ここ1年で日本への展開をスタートした中で、日本の市場に特徴があれば教えてください。
日下部:日本では、メーカーから直接購入するのではなく、代理店から購入することで安心感を得るお客様が非常に多くいます。日本ならではのユニークな販売方法です。代理店が提供する独自のサービスに頼ることで、製品をより確実に、効率的に活用できるというメリットを求められているのでしょう。
ビジネスの世界においては、どの国でもMacよりWindows PCの方が多く使われています。個人間では多く使用されているAppleデバイスを、ビジネスでもさらに使いやすくできるよう、Kandjiと代理店のサービスを組み合わせて付加価値を高めていくことが重要だと考えています。
デバイスの管理に充てていたリソースを、他の業務に費やしてもらいたい
Too:ユーザーとの親和性の高いAppleデバイスを、最大限のパフォーマンスでビジネスにも活用していただけることを目指しているのですね。そんな、Kandji開発の裏側に込められた想いを教えてください。
日下部:Kandjiは、管理者のことを考えたきめ細やかな設計がなされています。「デバイス管理の運用効率の向上」と一言でまとめられていますが、それを実現するためには、エンジニアチーム、プロダクトチームなど、たくさんの人の努力が詰まっています。
マーティン:実はSimple is hard。やりたいことを叶えるために次々と機能を作っていくことは簡単ですが、それらをまとめることは難しい。複雑なタスクをいかにシンプルにするか、そこに力を入れてきました。
日下部:一目見ただけで、どこで何ができるのかがわかる。かつ、さまざまな機能を簡単に利用することができる。これらを実現することで、デバイスの管理にかける「時間」というコストを圧倒的に減らすことができるんです。
マーティン:IT管理者は、社内から「これがやりたい」「もっとこうしてほしい」とリクエストを寄せられることも多くあります。多忙な日々の業務の中で、社内のリクエストに対応できるのは半年後、1年後になってしまうこともあると思います。しかし、もしデバイスの管理に割く時間を削減できれば、他のプロジェクトに時間を費やすことができるはずです。
また、他社の採用サイトを見ていると、数百もの企業がIT管理スキルを持つ人材を探しています。しかしKandjiであれば、特別なトレーニングも要さず、技術的なスキルを持たない社員でもデバイスを管理することができるため、既存スタッフで対応できます。
さまざまな意味でのコストを削減することで、ビジネスにおけるインパクトを増やすことにリソースを充てることができます。
安全性が担保されたAIの活用で、誰でも使えるツールに
Too:創出されたリソースを他の業務に充てることで、会社の生産性を上げていくことができるんですね。近年ではAIアシスタント「Kai」がKandjiに搭載されたと聞いています。
マーティン:Kaiは、普段の会話と同じように自然言語で「該当のアプリがインストールされているデバイスのリストを作ってください。」とお願いするだけで、リストを作成してくれます。ツールの使い方がわからなくても、Kaiに聞けば答えてくれるので、Kandjiがより誰にでも使いやすいツールになります。
日下部:Kandjiを使うのはデバイスの管理者だけではないと思っていて。例えば、セキュリティの監査をするチームがデバイスのセキュリティ状態を確認したいときに、操作方法がわからなくても、Kaiに質問を投げさえすれば、レポートを出してくれる。本当に何も知らない、使い方を知らない人でもKandjiを使うことができます。
近年、多くの企業がAIを取り入れた製品を出していますが、AIと聞くと、「入力した情報が何かしら学習に使われるのではないか」と、安全性を懸念されるお客様も多いです。しかし、KaiはAIマネジメントシステムに関する国際規格「ISO42001」を取得した上でリリースしており、お客様のプライバシーを保護するよう設計しています。
Too:AIの活用によって、ツールの使い方を知らない、デバイスを管理する役割でない人でも簡単に使えるようになるんですね。業務の効率化にAIが大きな影響を与えている今、AIによるセキュリティリスクを懸念することなく使用できる点も魅力的です。
マーティン:セキュリティの観点から、AIをどのくらい社員に使わせるかなど、AIの利用が加速していくことを怖がっている企業は多いです。その点、Kandjiは、Appleが開発した独自のAIプラットフォーム「Apple Intelligence」の使用範囲を細かく制限し、安全性を提供することができます。企業の方針に合わせて、マイペースに制限設定を変更することが可能です。
さらなる付加価値でAppleデバイスをより使いやすく
Too:それでは最後に、御社にとってTooはどのようなパートナーでしょうか。
マーティン:日本唯一の、最も高度な付加価値を提供する Apple Authorized Enterprise Resellar(AAER)に認定された企業です。Tooにしかない魅力ですね。
日下部:AAERということだけでなく、デバイスの調達・導入・運用・返却のアウトソーシングサービス「UTORITO」の提供など、デバイスにまつわる業務をワンストップで対応できる点がTooのメリットだと思います。そこにKandjiが加われば、さらに付加価値を高めてAppleデバイスをご提供できると思います。
Too:Appleデバイスの管理にかかるコストを最小限に削減し、その分のリソースを他の業務に充てることができる。ユーザーのことを最大限に考えたKandjiの想いを聞くことができました。Tooも、お客様がよりAppleデバイスでビジネスに集中できる環境づくりを一緒にサポートしていきたいです。マーティンさん、日下部さん、ありがとうございました!
Kandji Japan株式会社