探訪!オートデスク株式会社
Asana Japan 株式会社
(右)ゼネラルマネージャー
立山 東 氏
(左)パートナーマネージャー
三浦 正裕 氏
メーカーさんを訪問して、皆さまの使っているツールが提供される背景を取材するシリーズ。今回は、チームのタスクやプロジェクトを一元管理できるワークマネジメントツールを提供するAsana Japan株式会社に訪問し、日本のゼネラルマネージャーである立山さんと、Tooのパートナーマネージャーである三浦さんにお話を伺いました。
現場の業務と経営の視点をつなぐAsana
立山さん(以下、敬称略):Asanaは2008年にサンフランシスコで創業され、日本法人は今年で設立5年目です。Asanaはワークマネジメントツールとして、初めて見た瞬間から使えるツールという概念のもとUIが設計されていることから、日本でも以前から英語版を使用している方が多くいました。
我々は「スマートに働く」というメッセージを掲げています。そのために、いまAsana Japanでは、企業単位で導入いただくことと、導入後のサポートの2つに注力しています。
現状では、自部門ではタスク管理ツールで、隣の部門とはチャットで、さらに他の部門では表計算ツールで、と複数のツールが乱立し、コラボレーションが阻害されている企業も多いと思います。それらのツールを統合するとなると、使いやすさはもちろん、他ツールとの連携やセキュリティー要件などさまざまな要望があがります。企業単位で導入することで、それに応えられるのがAsanaの強みです。
ユーザーがAsanaに登録したプロジェクトは、タイムラインやガントチャート、カンバン方式などさまざまな方法で確認できます。それらを複数束ねるとポートフォリオが作成できて、その上に会社のゴールも設定できます。自分のタスクと組織の目標のつながりを可視化できるのです。日々のタスクと経営の目線を一緒に管理できる、Asanaの特徴を発揮できるよう支援しています。
働き方の新たな市場を牽引する
Too:タスクを管理するツールはサービス開発のスピードが速い印象がありますが、昨今の市場の動きを教えてください。
立山:Asanaは仕事全体を管理するツールのため、プロジェクトマネジメントツールではなく、ワークマネジメントツールと謳っていて、英語ではCollaborative Work Management(CWM)と呼ばれています。昨年、調査会社のGartnerが新たなカテゴリとしてCollaborative Work Managementを作ったことから、市場としても成長していく領域だとわかります。
三浦さん(以下、敬称略):そのGartnerの市場調査資料では、AsanaはCWMのリーダー群に所属しているのですが、そこにはMicrosoftもGoogleも属していません。我々は彼らとは完全に違う形で認識されていて、Asanaを組み合わせて使うことでコラボレーションを促進できるという点が非常にユニークです。
Too:日本市場ならではの特徴はありますか?
立山:日本では大企業の売り上げ比率が高く、製造業や製薬会社、最近は地方自治体や、銀行のお客様にも採用いただいています。
法律の改正もあり、業務時間を減らしながらビジネスを伸ばす必要があるのが、日本企業の現状です。また、プロセスを明確に決めて仕事をする傾向があり、特定の社員しか更新できないほど作り込んだ表計算ソフトを運用している企業も多くあります。それを、リアルタイム性があって、誰でも情報をインプットできて、簡単に確認できるツールによって変えていこうという動きが高まってきたのです。
三浦:日本の市場は、どれくらい正確に日本語化されているかも重視しています。Asanaでは日本オフィスからサポートしているため、精度が高い日本語のコンテンツが他社と比べても桁違いに豊富です。
ユーザー目線に立ってフレキシブルに成長
Too:市場の動きに合わせて常に柔軟に動いているのですね。ユーザーに寄り添ったコミュニティ活動も活発だと聞いています。
立山:Asanaにはヘビーユーザーが多く、ユーザー同士のコミュニケーションで、仕事の苦労や悩みなど、助け合いながら解決できます。コミュニティの場では販売活動はしないという厳格なルールを設け、心理的安全性を担保しています。私がコミュニティイベントに呼ばれる理由としたら、乾杯の挨拶がほとんどです(笑)。
コミュニティでいただいたご意見を、本社にリクエストすることもあります。特に他ツールとの連携やセキュリティ要件については、日本のお客様からの要望がとても多く、開発の優先順位を上げるよう交渉しています。Asanaは規模が大きな会社ではないので、開発と営業の距離が非常に近く、開発の責任者が訪日してお客様に直接ご意見を聞くなど、フレキシブルに動いています。
三浦:コミュニティはグローバルで50万人まで成長しました。ディスカッションが生まれやすい環境作りにも工夫を凝らしていて、欲しい機能をユーザーに書き込んで投票してもらい、ある程度の数が集まったらその機能が開発されることもあります。ユーザーとの連携によってよいサイクルが生まれ、Asanaの機能は毎日アップデートされています。
上質なコラボレーションを実現するために
Too:ユーザーと一緒にAsanaを育てているのですね。さて、御社が掲げているミッション「世界のチームが容易に協力しあえるようにし、人類の豊かな未来に貢献する」に込められている想いを教えてください。
立山:仕事にはコラボレーションの「質」が非常に重要です。量だけが増えていくとノイズも増えてしまいます。Asanaを使ってマネジメントをすることで、社員が幸せに仕事ができるようになり、会社も社会も発展していくと信じています。
Asanaを導入するお客様は、働く環境をよりよくするために、ツールの選定から運用設計まで、ものすごく時間をかけて悩まれています。Asanaはあくまでツールですから、我々の力で企業文化を変えるというよりも、お客様の努力で変わろうとしている部分をお手伝いしているのです。
ありがたいことに、お客様からのAsana愛はびっくりするほど強く、私はこれまでいろいろな企業を経験してきましたが、自分が販売している製品がお客様をここまで笑顔にしているものに出会ったことがありません。ユーザーがコミュニティに積極的に参加し、イベントにも喜んで登壇してくださる。それはAsanaで働く醍醐味ですし、我々の方向性が正しいと確信する瞬間です。
三浦:私たちのソリューションはAsanaだけなので、会社のミッションが製品自体のミッションでもあります。私たちが掲げるミッション、会社、ソリューションのすべてがつながっているのは素晴らしいことだと、自信をもって言えます。
仕事のための仕事をこなす「Asana AI」
Too:AIについても力を入れているそうですが、現在開発中の注目機能についても聞かせてください。
三浦:テクノロジーに関してはAIに注力しています。さまざまな企業が取り組んでいる分野ですが、他社と大きく違うところはデータのモデルです。Asanaには「ワークグラフ」というデータの構造があり、ユーザーとタスク、タスクとプロジェクト、プロジェクトと企業のゴールが紐付いています。テキストでデータを読ませるのとは異なり、俯瞰的にタスクを見ることで、プロジェクトのボトルネックや解決策を提案してくれます。
他ツールとの連携も考えています。例えば、AIがスケジュールから空き時間を自動的に探し出して会議を設定し、会議の議事録に書いてあるTO DOを抽出し、タスクとして入力してくれる…なんてことも自動化できるわけです。人間がやると時間がかかる上に主観が入りがちなところを、バイアスなく判断してくれます。今までのAsanaとは異なったアプローチができると思うので、私たちもとても楽しみです。
立山:Asana AIのコンセプトは、主役はあくまでも人間だという考え方です。何かを決断するのはすべて人間で、サポートとしてAIが参加します。仕事のための仕事を全部こなしてくれる、非常に強力なチームメートです。
デザイナーがデザインの仕事に時間を費やせるように
Too:本来の業務に専念できる環境をつくることができるのですね。それでは最後に、御社にとってTooはどのようなパートナーですか。
三浦:Tooさんが長年お付き合いしているデザイナーにとって、Asanaはフィットするツールだと思います。営業がクライアントとコミュニケーションを取って、ディレクション担当が全体を管理、デザイナーがクリエイティブを作って、経営が全体的な視点で統括する…という社内外を巻き込んだワークフローを構築できます。
少子化で就業人口が減る中、デザイン業界も働き方に関して大きなチャレンジが必要です。一つの場所でコラボレーションすることで、メールやチャットの確認などの作業を減らし、お客様の価値につながるデザインに時間を費やすことができます。デザイナーのワークフローを理解しているTooさんと、お客様の課題に寄り添って提案をしていきたいです。
立山:Tooさんは今お付き合いされているお客様のワークフローをしっかり理解しています。お客様が置かれている環境への理解というのは、我々がいま一番求めているものですから、とても頼れるパートナーだと思います。
また、ソフトウェアやハードウェア、オフィス移転サポートなどまで、とても広い範囲を手がけています。座席のアレンジメント変更や、コラボレーションエリアの増設など、引越しのタイミングが、働き方を一番変えやすい時なんです。お客様が心機一転したタイミングで提案に行ったり、働き方に関するイベントなんかを開催したりするなど、ぜひTooさんとチャレンジしていきたいです。
Too:新たな視点で一緒にお客さまをサポートしていきたいと思います。常にユーザー視点で製品をアップデートし続けるAsanaが世界中で愛されている理由を垣間見ることができました。立山さん、三浦さん、ありがとうございました!
Asana Japan株式会社