探訪!アドビ システムズ 株式会社 後編

インタビュー

2019.03.20

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今回はアドビにおじゃまして、西山さんにアドビの開発方針を伺いました。後編です。

前編はこちら


adobe_20.jpg

アドビ システムズ 株式会社
デジタルメディア ビジネス本部
営業戦略本部 執行役員 本部長
西山 正一 氏

Creative Cloudのこれから

Too:では、本命のCreative Cloudについて教えてください。今後はどんなことが考えられていますか?

西山:いろいろあって、どれも面白いですね。

機械学習「Adobe Sensei」

西山:まずAdobe Senseiという機械学習に、何年も前から取り組んでいます。例えば猫の絵があったとき、よほど下手な絵でなければ人間は「これは猫だな」とわかります。コンピュータは大量の写真を読み込んで、パターンを認識してこれが猫なんだと学習していくのですが、現在の機械学習のフレームワークを使えば、その学習スピードは人間よりはるかに速いわけです。コンピューターが画像の内容を認識する - つまり「これってなんの画像?」ということがわかると、いろいろなことに応用ができるようになります。

例えば「中央に大きく人物が配置されている写真」があれば「その『中央の人物』こそがこの写真で強調したい要素だよね?」と即座に理解します。これを例えばPhotoshopが同じように理解できるとどうなるのか?「ではこの『中央の人物』を選択しておきましょう」と、クリエイターが次に取る可能性が高い作業を先回りして行えるようになります。そして、この機能は最新のPhotoshopにすでに実装されています。

「写真から切り抜きたい要素を選択する」という作業そのものは、投げ縄ツールを使えば10年以上前のPhotoshopでももちろんできますが、最新の技術を用いれば同じ成果をはるかに少ないステップで - この場合はワンクリックで - 行えるというのが機械学習の成果なのです。

アドビは、Adobe Stockの膨大な写真ライブラリや、世界中の何百万人というCreative Cloudユーザーのアプリケーションの利用状況を機械学習させることができる、ユニークな立場にいます。そして、その学習の成果を各アプリケーションの機能に還元できるというのも、アドビのユニークな点だと思っています。

キーボードがなくてもいいクリエイティブ環境

西山:また「パソコンがない世界におけるクリエイティブの可能性」についても考えています。デジタルのクリエイティブにおいては、パソコン - 多くの場合キーボードとマウス - を用いることが多く、アプリケーションのショートカットもキーボードを生産的に利用するためのものと言い換えることができます。例えば最新のWindowsマシンでは、より直感的なタッチ操作ができるようになっています。このようなパソコンが低価格で世の中に普及したときに、クリエイティブデバイスとして使えないとなると実にもったいない。また、現在のスマートフォンのスペックも格段に向上しており、その処理速度は数年前のパソコン以上だと言われています。

アドビでは、このような「キーボードがない世界」でもクリエイティブができる環境を模索しています。Illustratorなど一部のアプリケーションでは、このタッチ操作に最適化したインターフェイスをすでに実装しています。また、スマートフォンやタブレットの長所を生かしたアプリケーションも数多くリリースしています。 ご存知のかたも多いかもしれませんが、デスクトップ版と同じ機能を有する「iPad版Photoshop」も鋭意開発中です。

クリエイティビティの間口を広げる

西山:クリエイティブの間口を広げることも重要な取り組みです。これは「現在のプロの仕事を誰にでもできるようにする」ということではなく、クリエイティブを始める時のハードルを低くし、より多くの方に創る楽しみを感じていただきたいということです。今日では、スマホで4K動画が録れて、高解像度で綺麗な写真が撮れる「カジュアルなクリエイティブを作れる環境」を誰もが持っています。その方たちが「もう少しよくしたい、もう少し表現したい、いい感じに編集したい」と感じた時に、そのイメージを簡単に具現化するためにお手伝いをどのようにできるのか?というのも大きなテーマの一つです。

「撮った写真をワンタッチでいい感じに変えられるフィルター」はいろいろなアプリに実装されていますが、それはあくまでも「ツールが提案している『いい感じ』」であり、自分がイメージした表現とは違うかもしれません。綺麗な景色を見て「わ!」と思ったその瞬間を写真に撮っても、イメージしたとおりの写真になるかというとなかなかこれが難しい。心が動いたそのイメージに写真を近づけるには、ある程度のマニュアルなプロセスが必要になってきます。

カジュアルなクリエイティブでも「押し付けではなく自分で選択した表現」にどれだけ簡単に近づけるのか。アドビはそのお手伝いをするためにリソースを投入しています。代表的なツールは、Lightroomのモバイルアプリや、新しい動画編集ツールのPremiere Rushなどです。Premiere Rushは動画編集の基本中の基本に機能が絞られており、それを機械学習がそっと助けるという作りになっており、文字通り誰でも動画の編集に簡単に取り組めるようになっています。

アドビの動画編集といえば従来はPremiere Pro一択でしたが、これはプロ向けにデザインされたアプリケーションなので、最終的なアウトプットを念頭に置いてプロジェクトを開始する必要があります。例えば、テレビ用の動画と映画等の動画ではフレームレートも画角も異なるので、そういった設定を最初に行わねばなりません。これは「スマートフォンやビデオカメラで撮影した動画を編集したい」という、まずファイルありきという需要に対しては、残念ながら不向きであると言わざるを得ません。Premiere Rushはまさにこの「まずファイルありき」を前提とした設計となっていますので、いまこのスマホにある動画をなんとかしたい、というところから始められ、「つなげたい、カットしたい」が簡単にできるようになっています。

最後にTooについて

Too:では最後に、Tooはどんなバートナーかを教えてください!

西山:「クリエイターに一番近いパートナーさん」だと思います。アドビの社員以上にお客様のニーズを理解されており、アドビと日本のお客様の間をうまくつないでくださっている存在です。

新しいサービスや機能が出たときに、あまり細かく説明しなくても「それだったらこんなお客様に喜んでもらえますよね」とすぐわかっていただけて、ちゃんとエンドユーザーに説明していただける。Tooさんは、クリエイティブの領域でオールラウンダーなんです。Creative Cloud全体の価値を自然に提案していただけるのでありがたい存在です。

あ、最後に宣伝を! Adobe Stockに、念願のクレジットパックが発売開始になりました。Tooさんのお客様にもフィットすると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします!

Too:ありがとうございました。アドビの新たな挑戦は、次から次へと新たなツールや機能のカタチで繰り出されています。いつも目新しさや技術に驚かされますが、パートナー企業として日本のお客様にお伝えできるよう、その先にある世界観や向かうところを理解していきます。


アドビオフィスの入り口ホールには、Photoshopの切り抜きショットのフォトスポットが用意されています。Tooの担当営業をしてくださっている、勝さんと磯村さんとパチリ。

adobe-01.jpgのサムネイル画像

アドビ システムズ 株式会社

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