探訪!オートデスク株式会社
ミロ・ジャパン合同会社
(写真左)代表執行役社長
五十嵐 光喜 氏
(写真右)Head of Partner Sales
竹内 宏之 氏
メーカーさんを訪問して、皆さまの使っているツールが提供される背景を取材するシリーズ。今回は、共同作業のためのオンラインホワイトボードツールMiroを提供するミロ・ジャパン合同会社にお話を伺いました。
Too:最近仕事でもプライベートでも、Miroを使う機会が一気に増えました。まずは改めて、御社について教えてください。
五十嵐さん(以下、敬称略):多様な働き方への対応が必須になってきた現代で、私たちはビジュアルコラボレーション・プラットフォーム「Miro」を提供しています。コロナウイルスの流行以前から政府主導で働き方改革が打ち出されていましたが、そのアプローチは休みを取りなさい、残業を減らしなさいなど、ほとんどが労務に関するものでした。しかし半強制的にリモートワークをするようになって初めて、社員一人ひとりが快適に仕事に取り組めているのか、働く環境に意識が向くようになったのです。
リモート下でエンゲージメントを高め効率を上げ、事業を拡大するためにチームとして動かなければならなくなりました。チャットツールやビデオ会議システムの導入が進みましたが、これだけではディスカッションが満足にできないことも明らかになってきました。そこで、Miroのようなコラボレーションツールが必須となっているのが昨今の市場だと思います。
誰でもクリエイティブに仕事に取り組める
Too:御社ではミッション「日本のお客様が次の新しく大きなことを創造する環境を提供する」を掲げていますが、Miro開発でどんなことを大切にしているのでしょうか。
五十嵐:これまでツールを選ぶ際に重視されていたのは機能性です。しかし、今はそれ以上に「使いやすさ」が大切になってきました。なぜなら、仕事をする上で全員が同じツールを使わなければいけないからです。そのために、Miroは使いやすさを第一に追求していますし、ユーザー様から選んでいただける一番の理由もそこにあります。
もう一つ重要視しているのは、「アシスト」です。まっさらなホワイトボードを急に出されても、まず数字を書くのか、線を引くのか、矢印を書くのか…どこから何をしていいのか迷ってしまいますよね。このことから、今Miroが注力しているのはテンプレートです。ユーザーコミュニティであるMiroverseには、カスタマージャーニーマップやプロダクトロードマップなど、皆さまのクリエイティブな時間の創出をアシストするテンプレートをさまざま用意しています。我々が作ったものはもちろん、ユーザー様のベストプラクティスも投稿されています。
また、無償版からMiroに触れるお客様は多いですから、使えない製品だと思った瞬間に言葉も発せずに去ってしまいます。皆さまからの意見には神経を尖らせながら、およそ2週間に1回の頻度でスピーディーにアップデートしています。
Too:常にユーザー視点に立って製品開発を進めているのですね。ところでミロ・ジャパンは2021年5月に立ち上がりましたが、日本市場ならではの特徴はあるのでしょうか。
五十嵐:日本語版の製品が2022年6月にリリースされ、日本語でのサービス体制拡充に焦点を当てるなど、Miroグローバル全体で日本市場の開拓に注力しています。Miroでは、グローバルでのビジネスを4つのリージョンに分けています。北米から南米を含むアメリカ、ヨーロッパ、アジア、そして日本です。非常におもしろいことに、日本だけが国=リージョンなのです。日本の何がユニークかというと、GDPでは世界3位にもかかわらず、各国と比較して言語も文化も、そしてビジネスにおける振る舞い方も突出して異なります。日本に正面から向き合う姿勢が、この区分から見て取れるかと思います。
クリエイターとの親和性
Too:業界問わずさまざまな方がMiroを使っていますが、クリエイターとの親和性が高いと感じます。
五十嵐:先ほどの「使いやすさ」に通じる部分があります。クリエイターはクライアントの漠然とした思いをヒアリングしながら、自分のアイデアを外に出していくわけです。そのためにも、双方向のコミュニケーションは必須事項です。一生懸命ディスカッションしているのに、この矢印どうやって表示させるんだっけ?となると思考が中断されてしまいますよね。コミュニケーションのキャッチボールを簡便にできる点が、クリエイターとMiroの親和性の高さの理由なのかもしれません。
竹内さん(以下、敬称略):多くの方にとって使いやすい製品を目指した結果、クリエイターの視点がMiroのフィロソフィーに一番近かったのではないかと思います。もちろんクリエイター以外にもアピールをしていますが、どの会社様もデザイナーやデベロッパーなど、コラボレーションに敏感な方々が最初にMiroを使い、共感いただけることが多いです。
Too:Adobe XDなどさまざまなツールと連携もできます。
五十嵐:Miroの中だけでクリエイターのすべての仕事が完結するわけではありませんが、たくさんのツールを使っている中で、ツールの切り替えやファイルの入れ替えは削減すべき時間にあたります。シームレスな連携によって、よりクリエイティブな仕事や新たなチャレンジに時間を使っていただくことを目指しています。
竹内: また、Miroは無制限のキャンバス上に過程をすべて描くことができます。一覧性が非常に高いので、アウトプットまでの過程を振り返やすい点も強みだと思います。
五十嵐:クリエイターは0から1を作ることが仕事です。どのようなディスカッションや思考回路を経て1になったのだろうかと、振り返りながらデザインしていくと思います。前回の議論は前回のファイル、今回はこのファイルと分断されてしまうと、それぞれのコンテクストが見えません。Miroで仕事をシームレスにすることで、参画しているメンバー同士の納得感も生まれます。だからこそ良いアウトプットができあがるのではないかと思います。
アイデア次第で活用方法は無限大
Too: Miroは自由度がとても高いですが、ユニークな活用事例はありますか?
竹内: Miro上にバーチャルショールームを作るケースが増えています。動画も写真もYouTubeもMiroで見ることができるので、会議室に見立てたMiroのホワイトボードをズームすると、新しいテクノロジーやプロダクトの説明を聞くことができたり、メタバースのような形で活用いただけます。Miroは豊富なテンプレートがありながら設計の自由度が非常に高いので、デザイナーの力の発揮どころではないかと思います。
五十嵐:私たちの社員募集サイトもMiroをズームインしていくと、いろいろな社員に会えて部門を見ることができて、誰でも自由にコメントを残せます。Miroというとディスカッションのためのツールだと思われることもありますが、アイデア次第でプレゼンテーションツールのような使い方もできます。
ミロ・ジャパンのこれから
Too:この先、新たに挑戦したいことを教えてください。
竹内:ソフトウェアの連携は一層追求したいと考えています。世の中には多様な SaaSがありますので、Miroからさまざまなソフトウェアにスムーズに入ることができたり、呼び出すことができたり、逆にMiroを呼び出すことができると、さらに利便性が上がるのではないでしょうか。ユーザー様もツール間の移動を意識しなくなることが、使い勝手の良さにつながると思います。
五十嵐:グローバルのソフトとは連携が進んでいますが、特にクリエイターさんは日本ローカルのアプリやソフトを使っている方々が多くいます。そういった方々が使うアプリをシームレスにつなげられれば、もっとおもしろくなりそうです。
竹内:そのあたりはぜひTooさんに支援いただきたいです。日本のIT商材を扱う企業様の中でも、Tooさんはクリエイティブ業界という非常にユニークな市場をガッチリつかんでいます。お客様にタッチするだけではなく、デザイン的考え方を一般企業に広げながら、新しいサービスを一緒に作っていくことができたらと大変期待しています。
五十嵐:私はTooさんのことを「いづみや」だったころから知っていますが、クリエイティブ業界の老舗です。今やクリエイターの役割は、デザイン思考というフレームで、アートの世界だけでなくビジネス領域にも広がっています。100年以上続くTooさんから、クリエイターとはどのような方々なのか、たくさんお話を聞いて知見を広げていきたいです。
Too:五十嵐さん、竹内さん、ありがとうございました!パートナー企業として、これからも一緒にクリエイティブ業界を盛り上げていきたいと思います。
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