探訪!オートデスク株式会社
世界中にユーザーがいるコピックは、高い品質を保つために人の手で作業を行っています。コピックのロジスティクスを担っているTooのグループ会社株式会社G-Tooでは、その欠かせない作業の一部を江戸川区の福祉事業所に依頼しています。今回はコピックの交換用ニブに関わる業務を、3日間の作業研修という形で2名の方に依頼しました。そこで、お二方が所属する、江戸川区立障害者就労支援センターの八木良恵様と橋本敦広様にお話を伺いました。
コピックの作業を通じて社会性を育む
Too:就労支援センターの皆さまには、今回の作業研修以外にもコピックのセット組みなど、日ごろから重要な場面でたくさんのご協力をいただいています。
八木様(以下敬称略):G-Tooさんには5年ほど前から、当センターに利用登録している自閉的傾向がある方を一人雇用していただいています。その方の仕事は非常に正確ですが、天候や気圧の関係で、気持ちのコントロールがうまくいかないこともあります。G-Tooの皆さんは絵を描いて1日の作業の流れを示したり、彼が好きな映画のポスターを貼ったりと、楽しく仕事ができる工夫を凝らしてくださっています。暖かく見守ってくださる環境があることから、今回お二人を3日間の研修という形で受け入れてもらいました。
橋本様(以下敬称略):こういった研修は、社会性を育てることに関して大きな意義があります。今回受け入れていただいたお二人の場合、人とのコミュニケーションが少し取りづらいという傾向があります。初めての場所だと質問ができなくなってしまったり、固まってしまうところが課題なので、実践的な作業を通じて場数を踏み、耐性をつけていく機会にしています。私たちの前では見えなくても、環境が変わると見えてくる力もあるので、様々なシーンで経験を積ませていただけるのが助かっています。
丁寧な作業で世界中のユーザーに製品を届ける
Too:長時間の作業にもかかわらず、お二人にはミスなく正確に作業をこなしていただいています。G-Tooで行う作業で、取り組みやすい点などはあるのでしょうか。
八木:コピックに関わる作業ということで、完成品が彩り豊かな製品になる点で作業が捗るようです。他にも、彼らが作業したパーツが海外に出て外国の方に使ってもらったりと、夢が広がりますし、モチベーションにつながります。
橋本:作業を依頼する方の中には、色が見えづらい方もいます。コピックですと色数も豊富ですし、どんなふうに見えているのか、どの色は見えるのかなど、作業を通じてアセスメントできる場合もあります。加えて正確性の確認もできるのは、大きいですね。例えば「10本ずつ取ってね」といった指示が通るか、10本ずつ本当に取れるかなどを一連の動作としてこなせるので、G-Tooさんで行う作業の中にはヒントがたくさん落ちています。
八木:今回受け入れていただいたお二人は、好きなものや嫌いなもの、不得意なものが比較的はっきり分かれていますが、G-Tooさんのお仕事はかなり興味を持って取り組んでいるようです。指先を使う細かい作業や、数字で管理できる仕事が好きなのかなと思います。袋にペン先を3個入れて、この位置にホチキスを止めて、箱に決まった数を入れて…など、数や工程が決まった作業は当センターの利用者にはうってつけです。
橋本:どんなシチュエーションだったら集中できるのか、どういう声かけだったら理解してもらえるのかを確認できる場なので、ご本人に合った環境や作業を探していくいい機会になります。今回研修に参加している彼はあまり言葉で感想を言わないのですが、G-Tooさんの仕事だと「やります」「楽しいです」と素直に書いてくれるので、こちらもありがたいですね。こういった仕事が好きなんだな、じゃあこういった環境を用意してあげようという足がかりになります。
Too:コピックに関わる作業が、皆さまの働く機会の創出に役立っているのは嬉しいです。今後コピックやG-Tooに期待することはありますか。
橋本:さまざまな人がいる仕事場という空間で研修をすることで、実践に近い責任感や社会性が育っていくのかなと思います。G-Tooさんでは、いろいろな作業を仕事として工賃をいただきながら取り組めるので、障害者雇用が広がっていくという点にも期待しています。
八木:研修を通して、まずは我々が行っている活動を知っていただいて、そこから興味を持っていただけたらとても嬉しいです。老若男女・国内外問わず、たくさんの方が使うコピックで、福祉と皆さんとのつながりも作り上げていければと思っています。
Too:世界中で愛用されているコピックは、日々たくさんのスタッフが関わり様々な工程を経て皆さまの手元に届きます。江戸川区立障害者就労支援センターの皆さまには、日頃から丁寧なお仕事をしていただき、貴重な戦力として非常に助かっています。Tooも引き続き、皆さまをサポートできたら嬉しいです。八木さん、橋本さん、そして3日間の研修に参加いただいた就労支援センターのお二方、ありがとうございました。