探訪!オートデスク株式会社
メーカーさんを訪問して、皆さまの使っているツールが提供される背景を取材するシリーズ。今回はモニターの品質と信頼性の高さに圧倒的なブランド力を誇る「EIZO」です。
EIZO株式会社
(写真右)企画部 マーケティングコミュニケーション課
中林 さち栄 氏
(写真左) 映像ソリューション営業部 法人営業課
クリエイティブワーク営業グループ
稲熊 ふみ 氏
Too:まず、「EIZO」ブランドの強みはどんなところでしょうか。
メイド・イン・石川で高品質を
中林さん(以下、敬称略):EIZOの本社は石川県白山市にあります。高品質にこだわり、開発拠点である本社施設と生産工場が一体になっていることが我々の強みです。
中林:1968年の創業から一貫して、映像機器の開発・生産・販売を行なってきました。最初はブラウン管やテレビゲーム機などの受託製造からスタートしましたが、「より高い品質の製品をお届けしたい」という想いから、自社ブランド「EIZO」を立ち上げました。
稲熊さん(以下、敬称略):ヨーロッパの世界一厳しい規格をクリアし、グローバル基準を満たす高品質なものを生産しています。元々、EIZOはヨーロッパ向けに販売して、北米に広がり高品質が評判になり、海外から逆輸入されて日本でも販売を開始した、という経緯があります。
中林:価格競争のために競合他社が海外に製造拠点を移すなか、EIZOは創業からの信念として「高い品質を維持したい」と国内を中心とした生産体制を貫きました。
現在でも100%自社開発・自社生産にこだわり、生産拠点は国内では石川県、海外ではアメリカ、ドイツ、中国にあります。国内で流通しているクリエイティブワーク向け、ビジネス向けのモニターのほぼすべてが石川県から出荷されています。実は、売上の半分以上は海外市場が占めていて、世界80カ国以上もの国と地域でEIZO製品が使われています。
そして、手厚いアフターサポートもEIZOならではの強みです。製品には5年間保証が付いており(産業用などの一部用途を除く)、故障した場合は、修理期間中の貸出機を無償で貸出ししています。また、自社内にコンタクトセンターを持っており、モニターのプロである自社スタッフが、すぐ横に製品がある環境でお問い合わせに対応できる体制を整えています。モニターだけではなくPCや周辺機器との接続、ソフトウェアの操作方法などもご案内しています。
Too:御社のビジネスの全体像について教えてください。
中林:我々は「Visual Technology Company」として、幅広い市場に高品質な製品・ソリューションを展開しています。展開市場ごとに、大きく、ビジネス・エンタープライズ市場向け・クリエイティブワーク市場向け・産業用・医用などにわかれています。
産業用では、監視カメラ映像を表示するソリューションや、船舶に搭載して海図を表示するモニター、航空機の離着陸を確認する管制塔で使用するモニターなども展開しています。医用モニターは、画像表示が診断結果につながるので正確性が重要です。手術室向け映像システムのコーディネートにも力を入れており、カメラ撮影から記録装置、配信システムを丸ごとご提案しています。
映像制作市場でもトップをねらって
中林:クリエイティブワーク向けモニター「ColorEdge」は、これまで色のお悩みが顕著な印刷・写真業界でご評価いただいてきました。これからは映像業界にもどんどん進出したいと考えています。2020年のオリンピックを見据えて4K8K放送が始まり、さらにHDR映像と進化が著しい業界ですが、映像制作用モニターもしっかり追いついてご提供しています。
おかげさまでColorEdgeは多くのクリエイターにご愛用いただいており、写真、印刷、デザイン、3DCG、アニメーション、ゲーム、映像制作など、さまざまな現場で活躍しています(どんな企業で使用されているかは、EIZOウェブサイトでご確認いただけます)。
稲熊:HDR映像はモニターが進化したことで実現した技術で、暗所と明所が混在する映像でも両方がクリアに、人が見たときと同じ見え方が再現されています。
稲熊:ただ4K放送やHDRでの映像制作がはじまっても、まだよくわからないというお客様も多いです。EIZOとしては、ウェブサイトなどで情報を整理して発信しています(EIZOのHDR解説コンテンツはこちら)。ほかにもお役立ちの情報をまとめていますので、ぜひ一度、ご覧いただけたら嬉しいです。
「映像」の可能性を探り、チャレンジを続ける
中林:当社の大きな強みは、映像に関する技術ノウハウを自社内で蓄えていることです。技術開発は、さらに分野を広げていきたいと考えています。例えば、AIを活用した表示安定技術です。
液晶モニターは周囲の温度変化やモニター内部の温度変化によって、徐々に表示がずれてしまいます。当社は、モニター回路にAIを活用することで、表示のずれを高い精度で補正しています。これにより、ユーザーの皆さまに安定した表示環境をお届けできます。2018年以降に発売したColorEdgeのハイエンド機種をはじめ、いくつかの機種にすでに搭載されています。
ほかにも用途にあわせ、求められる機能に特化した製品を開発しています。
Too:最後に、Tooはどんなパートナーか教えてください。
稲熊:クリエイティブ市場で一貫して提案されているマルチベンダーとして、カラーマネジメントのサポート、プリンターもMacも、当社のColorEdgeも、トータルでお客様にご提案いただけます。メーカーとしては、信頼おけるパートナーとしてありがたい存在です。
デザインやDTPの現場に限らず、3DCG・アニメーション制作現場では、まだまだカラーマネジメントが制作ワークフローや予算に組み込まれていなかったりします。ここは啓蒙活動も含めて、引き続き一緒にやっていきたいです。
また、クリエイターさんが実際にどう使い、どこに困るかというヒントもTooさんからいただきます。Tooさんがお客様のクリエイティブ環境を支援されるところに我々の製品がある、そんな画が描けるといいなと思います。
EIZOのショールーム「ガレリア銀座」では、さまざまな業界のモニターが勢揃い、見て、触って体験できます。
「ショールームは、製品を実際に触って製品に関するご質問を専門のスタッフに直接お尋ねいただける、お客様との重要なコミュニケーションの場になっています。(中林氏)」とのこと。
写真展も定期的に開催されています。作品がモニターで展示されているのはモニターメーカーのショールームならでは。また、ソフトウェアの使い方、疲れ目解消、モニターと出力のマッチングなど、幅広いワークショップやセミナーが開催されています。
稲熊さんとともにTooの担当営業をしてくださっている、兎子尾さん(写真左)と中村さん(写真中央左)と、ショールーム前でパチリ。 どうもありがとうございました!