訪問!公益社団法人日本パッケージデザイン協会

インタビュー

2019.01.31

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(写真右)公益社団法人 日本パッケージデザイン協会(JPDA
理事長
伊藤 透 氏


Too:デザイン協会訪問シリーズです。こんにちは。Tooの椎野です。 今回は、 一般社団法人日本パッケージデザイン協会(JPDA) 理事長の伊藤さん(以下、敬称略)にお話を聞いてきました。

パッケージデザイン協会について

Too:まずはパッケージデザイン協会について教えてください。古くからある協会ですね。

伊藤:日本パッケージデザイン協会(以下JPDA)は、1960年に設立されました。来年60周年を迎えます。1960年といえば戦後15年経って、デザインというジャンルが確立された頃ですね。その頃は一人のデザイナーがなんでもやっていたと思いますが、ちょうどそれが、仕事によって分化し始めた頃だと思います。

Too:構成員も、個人会員と企業会員がある。

伊藤:協会設立当初から、個人会員と法人会員という設定があります。食品や化粧品などのメーカーではインハウスのデザイン室がありますから、会社単位での参加ができます。協会名も「デザイナー協会」ではなく「デザイン協会」なんです。

産業としてのデザイン

Too:パッケージデザインの特色を教えてください。

伊藤:デザインの表現を求めていくというより、デザインで産業発展させていくという面が大きいと思います。パッケージデザインというのは商品を売るためのものなので、「デザインが売れる」というより、「商品が売れる」ということになります。ビジネスとして成功するかどうかという点が評価に大きく影響します。

パッケージは9割以上が一般消費者向けのものになります。例えばコンビニに入って、目に入るすべての商品のパッケージは誰かがデザインしているわけです。販売チャネルが変わるとデザインも変わるので、コンビニ、デパート、ネット、などそれぞれで販売されているもので、顔つきも変わるし、デザインのコンセプトも変わります。その辺りがおもしろいですよね。

商品のサイクルも速くなってきていますが、業界全体が人手不足であるのも事実です。目新しさだけを追求して商品の回転が速くなるばかりだと、消費者も業界も疲弊していくかもしれませんね。

逆に、化粧品や食品でも、長いこと使われているパッケージデザインもあります。私が20代にデザインした商品でまだ販売されているものもあります。さらにもっと古い商品でパッケージデザインが変わらないものもあります。長く続くデザインもあるわけです。なくなってしまう商品もあるけど、消費者全員が新しいものに飛びつくわけではありません。

Too:愛用者がいて売れていると残るんですね。パッケージは商品を買うときの大きな動機になります。あまりにもあたり前で特に意識していませんが、選ぶ瞬間、こっちの箱よりこっち!みたいな選択をしています。

伊藤:一瞬で決めてしまいますよね。欲しいなと思う。消費者がパッケージデザインを認識して判断するのは0.2秒と言われています。

社会意識

伊藤:商品がある限り、パッケージは存在します。協会ではパッケージデザインが今後どのようになっていくのか、という研究もしていきたいと思っています。そして、サスティナビリティをどう実現していくべきかも大きな課題です。パッケージはゴミになるわけで、変えていかなければならないのに、コンビニで過当競争をしている場合ではないと思います。問題意識を持つ消費者であっても、便利なペットボトル飲料をつい買ってしまう。個人や一企業の動きではなく、社会的な改善が必要だと思います。

先日仕事でマレーシアのきれいなビーチリゾートに行く機会がありましたが、夕方になるとペットボトルが大量に海岸に打ち上げられるのです。それをトラクターが来て毎日片付けていましたが、あのゴミはどこにいくんだろう。そういうことを考えなければなりませんね。例えばスーパーでは量り売りするとか。ついこの間まで日本では量り売りしていたんだから、できないわけないと思います。

Too:ぜひJPDAで研究してください。

伊藤:考えなければなりませんね。

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パッケージデザイン大賞

伊藤:協会で一番大きい活動は、2年に一度開催されるパッケージデザイン大賞です。その時代のデザインの代表選手を選ぶので、時代を切り取るアーカイブの意味があります。受賞するのは決してよく売れた商品ではありません。ヒット商品はすでに売れていることで勲章をもらっているので、知られていないけど新規性があるものが選ばれます。

Too:このところの変化というのはありますか?

伊藤:最近は、「売れたらいい」という価値観ではない方向にシフトしていると思います。その商品を使うことで生活が向上したり、生活を豊かにする。ストレスがなくてゆったりしていて、自然に近くて、健康で。賞に選ばれているものも、そういう傾向にあると思います。そして、それがサスティナビリティなどにつながってくるのではないでしょうか。 だからといって、あんまり無駄がないというのもね。豊かさや贅沢さも必要だと思います。

デザインの価値をあげる

Too:協会がこれから取り組まれる活動を教えてください。

伊藤:協会の活動方針として、デザインの力を強くしたいと思っています。ビジネスの道具であったり、マーケティングの中に取り込まれたりして、企業の中でのデザインの価値が下がっている危機感があります。デザインというのは商品の価値をつくるものなので、デザイナー自身も理解して、企業やクライアントに対してもそういう意識を持ってもらいたいと思っています。デザインというのが産業にとって大事なものであって、そしてもっとデザイン料を払ってもらえる、デザイナーの給料をあげてもらって、発言力もあるようにしたいと考えています。

会社を経営するのも、デザインがなければできないわけです。いま、経営者にそれを教えてくれるところはほとんどありません。デザインへの理解がまだまだです。なんかおしゃれそうだな、とかそんなイメージしかなくて、デザインがどういう機能を持っているのか、どうマネージメントしていくのかを誰も教えてくれない。実務でしか覚えられないという世界になってしまっている。

Too:最近では、デザインが経営競争力に必要になってきていると言われています。

伊藤:具体的には、経営者やマーケッターに対して、デザインを教えるデザインの学校を作りたいという考えがあります。デザイナー自身もですが、経営側に対しても啓蒙活動が必要です。発注側であるクライアントに対して、デザインの価値を理解していただくことが大事だと思っています。

フラットな組織で活発な活動

伊藤:協会では他にもいろいろやっているんですよ。委員会もたくさんあって、それぞれに活動しています。みなさんボランティアだからどんどんやってますね。

Too:JPDAさんは活発に動いていらっしゃる印象があります。

伊藤:パッケージデザインやっている方々って、年齢や立場で区切ったりしないフラットな関係であるところがいい点だと思います。それゆえ活動が活発です。そういう点でもパッケージデザインはいいですよ。若い方にもお勧めします。

パッケージデザインをやっている人はぜひ会員になってもらいたいですね。一番のメリットは、企業や仕事を超えた横のつながりができることです。仕事上では会えない人と交流でき、年齢問わず、人間関係が広がるのはとても良い点だと思います。ぜひ参加してください。


パッケージデザイン。本当に身近で、私たちの生活に毎日影響するデザインです。それゆえ、社会問題も含め調査研究材料がたくさんあるようです。

一般社団法人日本パッケージデザイン協会(JPDA)

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