訪問!日本ジュエリーデザイナー協会

インタビュー

2018.11.19

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(写真左)1969年作品 菱田 安彦 氏
(右)2018年 JJDA公募展大賞作品 松本 のりこ 氏

Too:今日は日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA)にお邪魔してます。魅惑のジュエリーの世界をお聞きします。

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公益社団法人日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA) 会長 小宮 宇子 氏

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事務局長 植原 志乃 氏(以下、敬称略)


Too:まずは協会のお話から教えてください。

小宮:日本ジュエリーデザイナー協会は1964年に設立されました。本来の宝飾品の世界だけではなく、もっと自由なデザインで、ジュエリーが造形表現の新しいジャンルとして確立されることを願い活動が始まったんです。その理念を引き続き、独創的で、素材も紙からダイヤモンドまで自由であることを念頭に、事業を行なっています。

会員にはさまざまな人がいます。大きくはファインジュエリーのデザイナー、アートジュエリーのデザイナー、教育機関で指導する教育者などに分かれます。

ファインジュエリーのデザイナーは、デザイン画をおこし、そのデザインは自社ブランドや会社で製品化されることが多いですね。百貨店やホテルなどで開催される催事が、販売の場になることが多いです。個人というよりは、ジュエリーの業者さんやフェアなどを通じて展開されていきます。

アートジュエリーのデザイナーは、デザイナー自身が素材やデザインを決めて制作し、販売まですべて自分でやることになります。ギャラリーやショップを通して販売している人以外は、自分で作っているだけだと誰にも見てもらえないので、見ていただくための場として個展やグループ展が重要になります。一言でジュエリーデザイナーといっても、仕事内容はだいぶ違ってきます。

ジュエリーを身近に

小宮:「楽しいね」「嬉しいね」など、ジュエリーを身につけたとき、自分が変化する一瞬を知っていただきたいと思います。協会として、ジュエリーを自分で作ってみるワークショップを行なったり、地域の特徴を活かしたジュエリーをデザイナーが作るという活動も行なっています。ワークショップは難しいものではなく、細い銀線に石やパールを通してくるくるっと巻いて作ってみる、という感じです。

日本人はジュエリーとの接し方が「特別なもの」と、かしこまるところがあります。こういう活動を積極的にやっていくことで、ジュエリーを身近に感じてもらいたいと思っています。

Too:私も、ジュエリーデザインとは高額な宝飾品の世界だと思っていました。

小宮:もちろんそういうものを求める人もいらっしゃいます。それはデザイナーさんのお付き合いの環境にもよると思います。ただそういう人ばかりではないんです。

実際に見て、ちょっと気になると思ったら身につけてみて、「いいな」「へぇー」という気持ちを持ったら、ひとつを買っていただく。自分を変えたいな、と思うタイミングで手に入れられたら素敵ですね。ジュエリーは人に見せるためではなく、自分のためのものだと思います。人のためもあるかな。

植原:TPOに合わせて身につける場合は、人のためなのかもしれませんね。

紙からダイヤモンドまで

Too:ジュエリーの素材は、紙からダイヤモンドまでとおっしゃいましたが?

小宮:素材はなんでもいいのです。紙でもプラスチックでも。ストロー、フィルム、枯葉、布、廃材......など、すべてのものがジュエリーとなり得る可能性をもっています。

植原:何年か前の公募展の作品で、リングのトップが苔(こけ)という作品がありましたね。エアプランツを素材にされた方もいらっしゃいました。他にもカセットテープのネックレスとか。

Too:つまり、身につける形にするとジュエリーになるのでしょうか。

小宮:そうですね。身を飾るものにすればいいので、素材にこだわりはありません。もともとやはり金属素材が多かったのが、最近は以前よりもっとあらゆるものが素材になっています。海外の方はさらに自由で、どんどん変わってきています。

Too:素材の探究も必要ですか。

小宮:自分がこれだと思える素材に出会うまで探究します。完成度の高いものを作るには技術が必要なので、いったん決めたらその素材を追求していきます。ただ金属加工は体力が必要で、年齢があがると扱いやすい素材を探すことはあると思います。最近では宝石も磨かず原石のまま使うことも増えています。

Too:自然素材のものは一点ものです。工業品というよりはアート作品になるのでしょうか。

小宮:作品によってはアートと言ってよいのかもしれません。でもジュエリーは、身につけて初めてその価値が発揮されます。アート作品には用途がなくてもいいのですが、ジュエリーは「人間が身につけるもの」という制約があります。そして「人を傷つけないもの」と私は考えています。

植原:私も協会に入るまでは、ジュエリーはいわゆるファインジュエリーを指すのだと思っていました。それ以外はアクセサリーだと思っていました。

小宮:なにをもって「ジュエリー」というか境界線ははっきりしていません。会員内でも議論はいまだにあります。どのような仕事をしているかによっても見方が変わるのです。

経験を積み重ねる場に

Too:団体に参加されている方々にはどういう目的がありますか。

小宮:プロ集団なので一人ずつ仕事しているのですが、一人でやっているとつらいこともありますし、仲間と一緒になればできることもあります。そして、ほかの人が作ったものを見ることで、自分の技術やデザインを磨くことができます。自分の作品のために得るものがあるのです。

特に、若い人はいろいろな人の作品を多く見た方がいいですね。どんな仕事でもそうかもしれませんが、自分に足りないものは何か、を考える人は伸びていくと思います。そして実際にやってみて、経験が積み重なっていったときに気づきがあります。そういう経験を積んでいく場所が用意されているのが協会ですね。

Too:その場のひとつが公募展ですね。

小宮:公募展は二年に一度開催しています。会員展、技術セミナーも開催しています。

植原:これらは社会貢献活動です。あとは、会員同士の交流事業があります。道具を見に行ったり、製品にする会社を見学に行ったりする見学会なども開かれています。

Too:それはいいですね。

小宮:会費を払って得られる見返りをちゃんと分かる形にしたいと思いますが、この後の世代の人たちに場所を作っていくというのも重要な仕事だと思っています。

植原:もっと若い人に参加してもらいたいと思っています。やはり人と人との繋がりが重要です。

ジュエリーデザインの魅力

Too:高額な宝飾品だけではなく、毎日身を飾って楽しくなるということであれば、世界が広がる可能性を感じます。また、素材が身近であるということにも魅力がありますね。最後にジュエリーデザインの魅力とは。

小宮:ジュエリーの本質は、たぶん人間の高揚感ではないでしょうか。例えばこのイヤリングがあるときと、ないときの自分は違います。実物を見て、身につけて、それで自分がどう変わるか感じてほしいです。

以前、フリーサイズの指輪はダメなんですか? と聞かれたことがあります。でも指輪って、指輪によって着ける指が決まってくるんです。そうでなければもっとフリーサイズの指輪が売れていると思います。そのように、身につけてはじめてわかる魅力があるのです。

植原:公募展の審査をするときも、見るだけと身につけるのでは評価が変わります。

小宮:審査中も、わからなければ実際に着けてみます。身につけると魅力が発揮される作品があります。日本ジュエリーデザイナー協会では、公募展や会員展を定期的に開催していますので、ぜひ実物を見にきてください。


ジュエリーを身につけたときに自分にどう影響を及ぼすのか。ジュエリーデザインは人の気持ちを直接動かす仕事なんだと思いました。

公益社団法人 日本ジュエリーデザイナー協会

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