訪問!JAGDA!

インタビュー

2018.10.09

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公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会
事務局 事務局長
大迫 修三 氏

今回は、今年設立40周年を迎える「JAGDA」こと、公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会の事務局にお邪魔してきました。六本木の東京ミッドタウンの緑が間近に見られる素敵なオフィスは、デザインハブという展示スペースを併設しています。 JAGDA は1978年設立。約3,000名の会員を擁するグラフィックデザイナーの全国組織です。

Too:こんにちは。Tooの椎野です。 今日は、JAGDA事務局長の大迫 修三(おおせこ のぶみつ)さん(以下、敬称略)にお話を伺います。

jagda-03.jpg

Too:グラフィックデザインに興味のある方であれば、誰もが知っているJAGDAさんですが、グラフィックデザイン界の有名人がずらっと揃っていて、個人的にはなんとなく雲の上というイメージがあります!まずはJAGDAの活動を教えてもらえますか?

JAGDA事務局の仕事

大迫:私たちの活動は、年鑑の発行、展覧会やシンポジウムの開催、デザイン教育、公共デザインや地域振興への取り組み、国際交流など、多岐にわたります。年鑑を発行する、というのが活動の一番の中心でしょうか。それから、新人賞、亀倉雄策賞、JAGDA賞というアワードを実施しています。これらは、デザインのアーカイブとして歴史に残していくという重要な役割があります。そのほか、教科書になるような書籍を出す。学生むけデザインコンペを企画して開く。社会とのつながりを作るための企画を実施する。などの活動を行なっています。

Too:例えばどんな企画があるんでしょうか?

大迫: 「JAGDAやさしいハンカチ展」 という企画は、東北復興支援をしたいけれどデザイナー個人ではできることに限界があるよね、と企画したチャリティーです。デザイナー自身がハンカチデザインをするというアクションから始まり、子供たちや商店街を交えた活動に広がっていきました。小学校への寄付金の使い方を小学生自身が考えるという非常に面白い企画となりました。これらは団体だからこそできることだと思います。こういった活動は、東京だけで終わってしまうことなく、全国展開が可能な点でも意味があったと思います。

また、地域におけるデザイン開発支援事業として実施した「おいしい東北パッケージデザイン」 という活動や、最近では障害のあるアーティストの作品をデザイナーがマスキングテープにデザインして、その販売利益をパラリンピアンに寄付する「JAGDAつながりの展覧会」 を開催しています。

jagda-hanmachi.jpg

Too:ほんとうにさまざまな活動をされているのですね。これらを企画・運営されているのが事務局さんなんですね。

大迫:JAGDAは基本的に補助金や助成金は無しで、すべて会員の会費で年間の活動を行なっています。これも会員数がある程度あるからできていることです。公益社団法人なので、予算の50%以上は社会に貢献する活動に使うという命題があります。そのため会員の方々だけではなく、社会全体に寄与するような著作権のことをまとめたり、教科書のようなものを作成したりもしています。

JAGDAから生まれるもの

Too:地域で見るとどうですか?やはり会員さんは東京が多いのでしょうか? 地域活性化でデザインが関わる話も多く聞きますが。

大迫:会員の半分は東京になります。ただ、JAGDAは全国に会員がおり、都道府県ごとに活発に活動しています。最近は、直接地元の企業と一緒に商品開発からデザイナーが関わることが増えてきています。その分、平面の仕事だけではなく、仕事の幅も広がっていると思います。それぞれの仕事の規模は小さいかもしれないけど、社会的に意味がある活動であったり、またそれが大きな話題になることもあるので、とても可能性があるんです。

Too:JAGDAに入会される方はどういう方々なんですか?

大迫:入会される方には、大きくふたつの理由があると思います。ひとつは新人賞を獲りに来る若い世代の人たち。そしてもうひとつは、新しい横の人脈を作りたい中堅世代以上の人たちです。入会すると、いわゆる「雲の上の人」とも会って直接話ができるようになりますので、そういう点でも大きな刺激があると思います。

Too:会員同士の交流も活発ということでしょうか?

大迫:これも積極的に行なっていることです。特に東京以外の地域は人数がそれほど多くないので、あっという間に会員同士の輪に加われる良さがあります。東京でも新入会員のための歓迎会が開かれるようになりました。どんどんJAGDAの会員になっていただけると嬉しいですね。

Too:JAGDAの活動でいま力を入れている分野はどんなところですか?

大迫:いまは、教育と国際化です。
実はいま、JAGDA会員にも教鞭をとられる方が増えているんです。企業でもデザイン思考が経営に求められ、そういった人材が必要とされてますし、クリエイティブな発想を子供たちが持てるようにと言われていたりで、教育分野でデザインへの関心が非常に高くなっています。先生たちも子供たちにデザインを教えられるようになるニーズが出てきています。これは私たちにとっては非常に大きなテーマで、これから取り組んで行きたい分野です。

そしてもうひとつは、国際社会の中での日本のデザイナーの地位の復権でしょうか。日本のデザインはアジアを含む海外で非常に高い評価を受けています。国際的に名前が知られている日本のデザイナーの先輩たちは、外国語ができなくてもどんどん外に出ていってました。亀倉雄策さん、田中一光さん、福田繁雄さん、永井一正さんなどが築いてきた国際的な交流がかなり弱くなった、というのが実体だと思います。ここへきて、浅葉前会長や、新会長の佐藤卓さん、副会長の原研哉さんなどが国際的にも頑張っていただいてますが、これからの若い人もどんどん外に出ていってほしいと思います。JAGDAの学生グランプリも、来年度から国際コンペにする予定です。世界の中での日本のデザインの価値をさらに上げていきたいですね。


会員3,000人という規模もあり、社会貢献に対する影響も大きいJAGDAさん。時代を牽引するコミュニケーションを表すグラフィックデザインは今後どのように向かっていくのか、事務所に山積みされた貴重な資料の中に時代の動きが見えるんだろうなと思ったインタビューでした。

公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)

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