design surf seminar 2025

ジャパン デザイン サミット 2025

2025.12.09

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洪 恒夫

日本空間デザイン協会
特任理事

株式会社丹青社
デザインセンターエグゼクティブ クリエイティブディレクター

永井 一史

日本グラフィックデザイン協会
会長

株式会社HAKUHODO DESIGN
代表取締役社長

太刀川 英輔

日本インダストリアルデザイン協会
理事

NOSIGNER
代表 / 創業者

丹羽 浩之

日本インテリアデザイナー協会
理事長

有限会社ヴォイド
代表

福本 佐登美

日本パッケージデザイン協会
副理事長

株式会社アイディーネット
取締役・デザインディレクター

星野 学

日本ジュエリーデザイナー協会
会長

Hoshino Studio Jewelers
代表・ジュエリー作家

竹内 誠

日本サインデザイン協会
会長

TREI株式会社
代表取締役 ディレクター

津山 竜治

日本空間デザイン協会
特任理事

株式会社乃村工藝社
UXデザイナー

井出 昭子

日本インテリアデザイナー協会
理事

A-DESIGN
代表 クリエイティブディレクター

Tooは、特別セミナー「design surf seminar 2025 - デザインの向こう側にあるもの - 」を、2025年11月7日(金)に泉ガーデンギャラリーで開催しました。10回目となる今回は、最前線でデザインの可能性に挑戦する皆さまの、トライアンドエラーの過程やノウハウ、創造の原動力を盛り込んだ8本のセッションを行い、盛況のうちに幕を閉じました。当日のセッションレポートをお届けします。

日本デザイン団体協議会(DOO)を構成する7つのデザイン団体の代表者が集結し、2年ぶりとなる「ジャパン デザイン サミット 2025」がdesign surf seminarの会場で開催されました。

各デザイン団体が注目するアワード受賞作品を紹介し、それらの作品から抽出したキーワードをもとに、デザインの今について多様な視点で語っていただきました。

日本デザイン団体協議会(DOO)7団体の代表者が集結しました

日本デザイン団体協議会(DOO)とは

まず最初に、司会を務める日本インテリアデザイナー協会の井出昭子氏が、日本デザイン団体協議会(DOO)の紹介をしました。

日本デザイン団体協議会は、複数のデザイン団体が相互の理解を越えるデザインの課題に対処するために発足した連絡協議会で、現在は以下の7団体で構成されています。

  • ⽇本空間デザイン協会/DSA
  • ⽇本グラフィックデザイン協会/JAGDA
  • ⽇本インテリアデザイナー協会/JID
  • ⽇本インダストリアルデザイン協会/JIDA
  • ⽇本ジュエリーデザイナー協会/JJDA
  • ⽇本パッケージデザイン協会/JPDA
  • ⽇本サインデザイン協会/SDA

日本デザイン団体協議会では、1950年以降の日本のデザインをアーカイブする活動もおこなっています。現時点での研究成果である「ジャパンデザインクロニクル」は会場に展示され、多くの来場者が熱心に見ていました。

会場に展示されたジャパンデザインクロニクル

7つのデザイン団体が選んだ2025年の傑作デザイン

続いて、日本空間デザイン協会・津山竜治氏を進行役として、7つの団体が選んだ2025年の傑作デザインを紹介しました。

日本空間デザイン協会は、日本商環境デザイン協会(JCD)と共催のアワードから、大阪・関西万博のパビリオン「EARTH MART」など3作品を紹介しました。

それぞれの作品にはキーワードを付けてもらっています。たとえば「EARTH MART」には「物語りと学び」というキーワードが付いていました。

各作品にはキーワードが付けられました

日本インテリアデザイナー協会は、JID AWARD 2025の大賞作品の軽井沢にある住宅や、プロダクト部門金賞の水をテーマにした作品、NEXTAGE部門金賞の土壁と、バラエティ豊かな作品を紹介しました。

各団体が選ぶ作品に来場者も興味津々

日本サインデザイン協会からは、SDA賞大賞作品の建築物など3作品を紹介。代表の竹内誠氏は「町のシンボルや象徴である建築もサインという観点から、今回の大賞作品は“アイデンティティの視覚化”がキーワード」と解説しました。

日本グラフィックデザイン協会は、亀倉雄策賞の女子美術大学のポスターなど3作品を紹介。女子美術大学のポスターは頭文字の「J」をモチーフに、約20年にわたって変化を加えながら作成しており、その積み重ねが評価されたといいます。

日本パッケージデザイン協会は日本パッケージデザイン大賞2025から3作品を紹介。大賞作品のスキンケア製品POLAコスモロジー、ホームケア&電化製品部門金賞のソニーポータブルシアターシステム、食品部門金賞の大好物醤油と、それぞれアイデアに富んだパッケージが選ばれました。

日本インダストリアルデザイン協会は、トヨタのランドクルーザー250、パナソニックのラムダッシュ、NTTが作ったオーディオメーカーによるヘッドフォンを紹介しました。

日本ジュエリーデザイナー協会は、日本ジュエリー展から日本の伝統技法をジュエリーデザインに活かした手仕事の作品など3作品を紹介。3作品ともデザインから細部のパーツまで一貫して1人で作っているのが特徴で、代表の星野学氏は、「それがジュエリーの持つ価値の根源」と話しました。

アワード作品は別団体にはどう見えるのか

次に、2025年の傑作デザインとして選ばれた各団体のアワード作品とキーワードが、別の団体からはどのように見えるのかというディスカッションに移りました。

日本空間デザイン協会の洪恒夫氏は、日本インテリアデザイナー協会が選んだ作品について感想を述べたあと、今のデザイナーの共通性として「ただの形だけじゃなく背景や文化などを掘り起こしながら価値を生み出している」と述べました。

日本インテリアデザイナー協会の丹羽浩之氏は、日本インダストリアルデザイン協会が選んだ作品からヘッドフォンに注目し、「製品のデザインがその機能を視覚的に訴えかけていて、人と社会の関係性や繋がり方をどうしたいのかを表しているような作品」と称賛しました。

各団体のアワード作品に別の団体がコメント

日本パッケージデザイン協会の福本佐登美氏は、日本ジュエリーデザイナー協会が選んだ作品がすべて手仕事で作られていることへの驚きを口にしました。そして、自身が傑作デザインのひとつとして紹介した醤油のパッケージのイラストが手描きであることに触れ、「手仕事だからこそ人に訴えかける力がある」「手の力が見直され始めているのではないか」と話しました。

ジャパン デザイン サミットの意義

つぎに、洪氏(日本空間デザイン協会)が、日本のデザインをアーカイブする「ジャパンデザインクロニクル」について改めて説明したあと、「ジャパン デザイン サミット」の意義について、「7団体が集まってみんなで力を合わせて議論することが日本のデザインを語ることになるし、デザインの本質を語るものにもなっていく」と語りました。

続いて、WDO(世界デザイン機構)の理事でもある太刀川英輔氏(日本インダストリアルデザイン協会)が、デザインの領域が広がっていることについてのコメントを求められ、「サステナブルなデザイン、環境に優しいデザインといった話だけでなく、毎年歴史上最大の災害が起きるような時代の中で、デザインが必要だと言われ続けている」と話しました。

キーワードから何が読み取れるのか

つぎのコーナーでは、作品のキーワードをまとめて表示して、そのキーワードから何が読み取れるのかが語られました。

作品のキーワードから何が読み取れるのか

永井一史氏(日本グラフィックデザイン協会)は、「追求」がキーワードの亀倉雄策賞の女子美術大学ポスターについて、「経験や時間が背景にあり、その先にある表現がデザインとして現れていることが評価された」「AIで簡単にデザインができてしまう時代だからこそ、積み上げてきた時間に人の気持ちが動かされる」と話しました。

竹内氏(日本サインデザイン協会)は、「グッドデザイン賞などを見てもモノのデザインからコトのデザインに変わってきている」と、背景を重視する世の中になっていることを説明し、「共通意識や記憶の中にある情景や感情をデザインにしていくことが、各団体のアワード作品にも共通していた」と語りました。

福本氏(日本パッケージデザイン協会)は、パッケージデザインも外側の箱を作るだけでなく、「中の製品の良さをいかに外側にまで表現できるか」をプロダクト全体としてデザインする、インダストリアルデザインと近くなっているケースも出てきていると解説し、「領域の境界が曖昧になっているのが面白い」と発言しました。

今年のデザインについてキーワードとともに

最後に、今年のデザインとして何を感じたのかがキーワードとともに語られました。

今年のデザインについて各団体代表が挙げたキーワード

太刀川氏(日本インダストリアルデザイン協会)は「いのち」というキーワードを挙げ、「美しいものは捨てにくい。美しくないもの、完成度の低いものはすぐ捨てられてしまう」とデザイナーが大事にしている質がサステナビリティと繋がっていると述べ「美しさも命が感じているし、命があるから美しいと理解できる」と話しました。

「支える」をキーワードにした星野氏(日本ジュエリーデザイナー協会)は、「人と自然を支えていくのに活躍するのはやっぱりデザイン」と語り、1万年以上も前から装飾品としてデザインされている勾玉からそう確信したと説明しました。

丹羽氏(日本インテリアデザイナー協会)は「つながり」をキーワードに、「関係性がありつながりがあることで感情が生まれるので、関係性をどうデザインするかを意識したい」と話しました。

洪氏(日本空間デザイン協会)は「デザインが人々の願いを叶えていくときの到達点はやっぱり幸せでなければいけない」と「幸」をキーワードに挙げました。それを受けて進行役の津山氏は「我々のデザインサミットに“幸せ”というキーワードが出てきて、デザインには希望があるんだと感じてきます」と発言しました。

そして、永井氏(日本グラフィックデザイン協会)は「今回の貴重な機会で、先入観を一旦なくしてデザインを本質的に定義するのは大事なことだと思った」と語り「面白い時間を過ごさせていただきました」と締めくくりました。

たくさんの来場者で熱気に包まれたセッションでした

デザインを多様な視点で探ることで、デザインの魅力を改めて発見し、これからの生活や社会と関わるデザインを考える機会となるセッションでした。

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