未来社会はどうデザインされていくのか。日本国際博覧会(大阪・関西万博)レポート

レポート

2025.05.27

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2025年4月13日より開幕した、日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、大阪・夢洲には180以上のパビリオンが集結しています。皆さんはもう足を運ばれましたか?

Tooは、テーマ事業「シグネチャーパビリオン」のうちの1つで、メディアアーティストの落合陽一氏がプロデューサーを務めるパビリオン「null²(ヌルヌル)」のパートナーとして協賛しています。パビリオン内部のシステムを運用する中で必要となるMacやiPadの提供を行い、最先端技術の集結による新たなアイデアの発信や、イノベーションの創出への貢献を目指しています。

今回は、null²を中心に未来の技術に関するパビリオンに参加してきましたので、会場の様子をレポートします!

人間とAIが融合した世界観を体感する「null²」

「いのちを磨く」をテーマにしたnull²の外観は、全面がメタリックな鏡面のような素材で覆われ、ところどころ光りながら表面が振動します。鼓動のようにも波紋のようにも見えて、まるでパビリオン自体が生きているかのようです。

banpaku1.png壁面に協賛企業としてTooのロゴを発見!

事前に専用のアプリで自分の姿や声を登録し、アバターを作ることでその空間にさらに没入できるとのことで、私も登録してみました。

いよいよパビリオン内へ。靴を脱いで、天井や床、壁がすべて映像に包まれたシアターに足を踏み入れます。生成AIがリアルタイムで作り出す映像と音が絶え間なく押し寄せ、自分が飲み込まれるかのような感覚に陥りました。

banpaku2.png

事前に作成した自分のアバターは上演中に登場するのですが、単にディスプレイに映し出されるだけではありません。来場者が質問を投げかけると、登録した音声をもとに生成された声で回答してくれます。自分のアバターが、表情や動作をつけて他の人と会話している様子を見ていると、自分が話しているのか、アバターが話しているのか、その境界が混ざり合っていくような不思議な感覚になりました。

体験を終えると、落合氏の解説を聞きながら、シアターの外から演出を眺めることができます。シアター内では衝撃の演出の連続で頭がまったく付いていかなかったため、自分の体験を客観的に見ることができるのがありがたかったです。

null²のシアター内では、AIや人間の境目が曖昧です。近い将来、AIが人間のすぐ隣にいる生活が当たり前になったときと似たような体験なのかもしれません。そんな未来が来たとき、「私」は自身をどう定義していくのか、改めて、未来の人間とAIのあり方や、自分が何者であるかを考えさせられました。

自分らしく生活するために「大阪ヘルスケアパビリオンNest for Reborn」

続いては、未来に実現を目指すヘルスケアや都市生活の体験、再生医療の可能性の発信をするパビリオンです。テーマである「REBORN」には、“「人」は生まれ変われる”、“新たな一歩を踏み出す”という意味が込められています。パビリオンは、鳥の巣をイメージした包み込まれるようなデザインが印象的です。

banpaku3.png

館内は、最新の医療技術・ヘルステック、予防医療、メンタルケア、ウェルビーイングに関する展示が数多く並び、まるで未来の病院に足を踏み入れたようでした。

話題の展示の一つが「ミライ人間洗濯機」です。1970年の大阪万博でも展示された人間洗濯機が現代の技術でアップデートされ、カラダだけでなくココロも洗い、健康促進をサポートしてくれるというもの。カプセルのような装置に入ると、ミストや泡、ジェット水流が全身を包み込み、入浴者の心拍計測をもとに心身状態を可視化して、入浴者に合わせた映像を投影。その反応に応じて水流などを制御し、最適な入浴環境を届けるそうです。

banpaku4.png

印象的だったのは、最新の技術を「若返り」だけに活用するのではなく、どう生きるか、どう老いるか、どう再生するかに注目していた点です。「自分らしく生きるためには?」を考えるヒントがたくさん散りばめられていました。

移動手段を大きく変える「空飛ぶクルマ ステーション」

最後は、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた「空飛ぶクルマ ステーション」です。次世代の空の移動手段である「空飛ぶクルマ」が、人々の生活に欠かせない存在となることを目指した取り組みを紹介しています。

パビリオンに入ると、空飛ぶクルマの実機が来場者をお出迎え。試乗を終えたら、タブレットで自分の好きな色に空飛ぶクルマを塗ることができます。

banpaku5.png翼にTooロゴを描いてみました。

続いて全面がスクリーンになった部屋へ移動すると、先ほど自分で着色した空飛ぶクルマが目の前を飛んでいく様子が映されます。空飛ぶクルマは、見た目は飛行機に似ていますが、電気で動くため音が静かで環境負荷を軽減できます。また、垂直に着陸ができるため長い滑走路が必要ない点などが大きな特徴です。実社会の導入に向けて、現在法整備や試験飛行が進められているとのこと。

banpaku6.png空飛ぶクルマの実機イメージ

これまで訪れることが難しかった場所へのアクセスはもちろん、災害や救急医療での対応など、さまざまな場面での活用が期待されています。9月下旬から万博会場でデモ飛行が行われる予定とのことで、実用化が想像以上に近づいていることを知り驚かされました。

世界を、宇宙を、未来を感じる大阪・関西万博

そのほかには、世界各国の魅力が詰まったパビリオンや、地球を飛び出して宇宙空間を体感するパビリオンなどが数多く展開されており、大阪にいるにも関わらず、世界旅行・宇宙旅行・未来旅行をしているかのような刺激を受けました。

テクノロジーの進化が、私たちの未来の暮らしをどうデザインしていくのか。そのヒントに触れることで、感動と興奮に包まれた1日になりました。

banpaku.png伝統的な貫接合に現代の工法を加えて建築された大屋根リングからの景色。


Tooの日本国際博覧会協賛に関するニュースリリースはこちら

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