探訪!オートデスク株式会社
日本が培ってきた文化や技術の魅力を、デザインの視点から再発見し表現する「未来を拓くニッポン・デザイン展」が、渋谷ヒカリエにて5月17日(金)〜19日(日)に開催されました。日本広告制作協会(OAC)様の設立50周年事業として企画された本展覧会の様子をお届けします。
会場の様子
さまざまな課題を抱え、先の見えづらい時代を迎えている日本。未来は予測できないが、未来へのヒントは過去にあるはずと、日本が長い歴史で培ってきた文化や技術を「デザイン」の視点から見つめ直し、未来を切り拓く可能性を見つけよう、というのがこの展覧会のコンセプトです。
会場に足を踏み入れてまず目に入ったのは、日本の伝統をデザインの観点から解説したパネルです。複雑な情報を削ぎ落としてメッセージを伝える俳句やピクトグラム、大胆なデフォルメが遊び心をくすぐる鳥獣戯画や漫画文化、しなやかに揺れる心柱が免震構造となる五重塔やスカイツリーなど、日本固有の特徴から生まれた文化や技術が、今の時代にも活かされていることが紹介されていました。
このようなテーマから着想を得た、OAC所属クリエイターの作品7点と、一般公募で集められた13作品が展示されていました。クリエイター作品では、サステナブルなフードデザインへの取り組み、工芸品と工業製品という相反するイメージが組み合わさった作品、伝統工芸の技術を人のあり方と重ねた作品など、日本が長い年月をかけて培ってきた魅力が、再解釈を交えて可視化されていました。
一般公募の作品では、応募作品約60点から選考された、グラフィックと映像作品が展示されていました。日本画とピクトグラムを融合させた作品、自然と人間の共助によって発展した稲作の技術、強靭性と環境への優しさを兼ね備えた和紙の活用など、過去からヒントを得てこの先の未来にいかに繋げられるのか、考えさせられる作品ばかりでした。
「紙芝居」から着想を得たパフォーマンス、「箱しばい」も行われました。6面に絵が描かれた正方形の箱を組み替え、さまざまな昔話がミックスされて一つの新しい昔話に再構築された作品です。現代的な要素が散りばめられた予想外のストーリー展開に、会場は笑いに包まれました。
デザインの本質を伝えたい
展覧会の企画や運営を担当された、OAC事務局の三上さんにお話を伺いました。
「生成AIなどの新しい技術が登場して、今後のデザイナーのあり方について考える方も多いと思います。このような時代の中、多くの皆さまに、デザインの本質を考えてもらうきっかけになればと思い、展覧会の準備を進めてきました。ともすれば、西洋の技術や文化に目が行きがちですが、今回クリエイターの皆さんが日本の中から再発見してくれたように、日本の文化や技術、そしてデザインのあり方は、いまだに魅力的です。試行錯誤し物事の本質を突き詰め、それをカタチにしてきた日本、そしてデザインのチカラ。それはデジタル化・AIの時代であっても、ますます重要になってくると思います。今後もデザインは文化を創り、文化は価値を生み出し、価値が未来を創りだすはずです。我々がお届けするメッセージがこの展覧会を通じ伝わってくれればと思います。」
なお、展覧会は3日間で2,050名の来場を数え、大盛況だったそうです。OACさんでは設立50周年の節目にあたり、引き続きワクワクするような企画を検討されていくとのことです。展覧会に出展された作品は、公式ホームページよりご覧いただけますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
http://www.oac.or.jp/nippon_design/
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