【design surf seminar 2018 京都】新旧融合が起こす化学反応

レポート

2018.12.17

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篠つく雨が降る12月の京都先斗町。昭和初期に完成した先斗町歌舞練場という、歴史的な建築で京都で初めての「design surf seminar 2018 京都」が開催されました。

花道、桟敷席、提灯、廻り舞台、歌舞伎の美術セット。という素敵なステージで、始まる前からワクワクが高まります。今回は、京都大学さんが開催する「ARTS ECONOMICS ACADEMY」というカリキュラムの一環で開催されたカンファレンスとコラボ。2日連続で刺激的なセッションが続きました。

「design surf seminar 2018 京都」では、ユニークな個性が光る方々をスピーカーにお迎えして、2つのセッションを実施しました。

「クリエイティブの際をめぐる冒険」

前半のセッションには、東京ピストルの草彅洋平氏と、dot by dotの富永勇亮氏に登壇いただきました。

テクノロジーを活かしたインスタレーションや空間演出を得意としながらも、セリフがすべて関西弁の漫画を作るなど、手法に囚われずにクリエイティブを生み出してきたdot by dotと、紙、WEB等のメディア媒体だけに止まらず、企画、プロデュース、スペース運営まで、あらゆる「もの・こと」を編集してきた新時代編集プロダクション、東京ピストル。

「クリエイティブの際をめぐる冒険」と題して、さまざまな「際(キワ)」を取り上げながら、ご自身たちのワークやチャレンジが紹介されました。

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それぞれの「際(キワ)」

いまの世の中では、インスタ用の写真を撮るだけではない深い体験が響いてくるのではないかという「広告とエンターテイメントの際」。頼まれていないのになぜかやってしまうという「受託業務と自社開発の際」。そのほかデジタルやアナログを超える話や、働き方そのものの話など、それぞれの「際」についてテーマを変えながら話されました。

「アイデアを成仏させてあげたい。つくり手としてはやっぱり人の手に届けたい。」と語る富永さん。そして「街が好き。街のために何を置いたらいいのかを考えたい。」と語る草彅さんのお話はとても刺激的でした。

続いてのセッションの登壇者、一般社団法人 アート東京の來住尚彦氏を壇上の二人が呼びこんで、後半がスタートです。

「世界やビジネスとつながるARTの未来」

「まったく違うフェイズの話になると思いますが、どうぞ楽しんでください。」という來住さんは、TBS入社後「赤坂BLITZ」「赤坂サカス」を企画立案、プロデュースを行い、現在、日本最大級の国際アート見本市「アートフェア東京」のエグゼクティブ・プロデューサーを務められています。主催する「アートフェア東京」の解説を通して、アートビジネス市場の規模を語ってくださいました。

つづいて、千年の歴史と伝統を誇る京都・西陣「渡文」から渡邉博司氏、「工芸染匠作品展覧会」経済産業大臣賞受賞をはじめ数々の賞を受賞する、手描き京友禅「吉川染匠」から吉川博也氏が登壇です。

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伝統と新たなチャレンジ

それぞれの伝統工芸を引き継ぎながら、革新的な新しいチャレンジを続けるお二人から、伝統の背景や新しいチャレンジのお話をお聞きしました。渡文さんからは、西陣という地域をどう活性化していくかという話、吉川さんからは着物を着る機会が減ったいま、チョコレートの企画や3分で着られる着物で接点を増やす話などがされました。

3名は、これまでメゾン・エ・オブジェ・パリやフランスのJAPAN EXPOに出品するなど、日本の伝統工芸品を世界へ向けて紹介し、ビジネスへ展開してきました。今後は「artKYOTO@二条城」の開催予定があるということで、文化の中心となる京都を拠点にした今後の活躍が楽しみです。

ラップアップセッション!

最後は、5名全員がステージにあがりラップアップセッションです。

会場からの質問に真摯に答えていく登壇者のみなさん。「この世界で仕事に就きたい」という質問には、「何を専攻していても業界の幅は広いので大丈夫。」「アートを真剣に考えた人が食べていかれるプラットフォームを作りたい。」「アートとデザインのどちらをやりたいのか、悩むけど真剣に考えて。」といった、これからの可能性を広げていく答えが返されました。

最先端のお話と、伝統のお話、正直始まるまで、いや終わるまでどうなる?!という感じでしたが、それぞれが化学反応を起こした刺激的な話が、素敵な舞台の上で展開しました。

ご来場いただいた皆さま、どうもありがとうございました。


「design surf seminar 2018 Kyoto」公式サイト

東京開催「design surf seminar 2018」のセミナーレポートはこちら

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