Bonjourno! ヨーロッパ漫画学院と体感する日本の漫画文化

レポート

2018.09.28

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Tooグループ トゥーマーカープロダクツの樋口です。 2018年9月、ヨーロッパ漫画学院(Accademia Europea di Manga)の生徒が、漫画について学ぶためはるばるイタリアから日本までやってきました。

ヨーロッパ漫画学院はイタリアの漫画学校で、イタリアに十拠点、フランスにも一拠点があり、生徒の合計数は700名強。近年ではオンライン授業のシステムも導入しており、ヨーロッパ全域のみならずアフリカ諸国からの問い合わせも増加中と、年々発展を遂げています。

学院とトゥーマーカープロダクツとの関係は深く、コピックやアイシー製品のお客様であると同時に、私たちのイタリアにおける良き協力者でもあります。彼らが来日実習を実施する際にはわれわれがサポートをするなど、長年に渡って友好関係を築いています。

マンガの国、日本でマンガを学ぶ

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毎年恒例となっているヨーロッパ漫画学院の来日実習。今年も約二週間にわたり日本の漫画家やアニメーターの講義を受けるため、十数名の生徒が来日しました。トゥーマーカープロダクツでは、9月12日(水)に彼らを五反田オフィスに迎えてワークショップを開催しました。

このワークショップは、今夏のコミケで大好評だった「IC SCREEN×つけペンBOX」を使用して漫画のテクニックを学ぶ、という内容で、コピックの本拠地でプロ漫画家と同じ画材・同じ技法にトライできる貴重な機会に生徒たちは大喜びの様子でした。

ワークショップでは、練習用のコマ割り線画を使って生徒たちがペン入れやトーン貼りに挑戦。学校や家で同じ道具を使ったことのある生徒も多く、皆さん熱心に取り組んでいました。特に盛り上がったのは、トーンを削って雲を表現するテクニック。モニターで講師の手元を見ながら、実際にトーンを削ってみたり、メモを取ったりする姿が印象的でした。

国境を越えるマンガ熱

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ワークショップ開催目的の一つとして、「学長はじめ学院の関係者や生徒たちとの交流を通じて、トゥーマーカープロダクツの新入社員に、海外でも広がり続ける漫画熱を感じてもらう」というのがありました。

入社一年目、おさよとユーキのレポートを引用しますので、ぜひ、ご覧になっている皆さまにもその「熱」を感じていただければと思います。

おさよ:
画材を見て盛り上がる様子が見られ、どこでこんなに漫画や画材を好きになったんだろう……と純粋に疑問に思いました。

学院では、美術学校の先生による人体デッサンやパースの描き方などの授業も行われていると伺いました。芸術の国であるイタリアで、デッサンの専門的な内容を教わる※ことができるのはとても羨ましい話で、そのような要素がイタリア漫画を特徴づけていくのではないか、と感じました。

(※ヨーロッパ漫画学院の、ビジネス先行ではなく「教育」を重視した取組みが評価され、現在、フィレンツェ美術学校(Accademia di Belle Arti Firenze、創立者はあのミケランジェロ!)から芸術クラス向けに講師が派遣されているとのこと。)
ユーキ:
ヨーロッパ漫画学院のカリキュラムにおけるアナログ/デジタルの比率はアナログ80%で、初年度ではデジタルの授業はないそうです。学長さんからは、「最初からデジタルで学んでも、ソフトの使い方を学んでいるにすぎず、使っているソフトに依存した表現力しか身につかない。アナログで基礎から学ぶことが重要」とのお話があり、学習の場におけるアナログ画材の需要を再確認しました。

生徒たちは漫画作品のグッズを身につけていたり、コピック30周年色紙に大はしゃぎしたりして、日本の漫画が好きな気持ちが伝わってきて嬉しかったです。

「実際の紙に描く楽しさ」「この世に一つしかない原画の価値・素晴らしさ」は、アナログ画材を売っていく上で今後も重要な価値観になるんじゃないかと感じました。


若い世代が相互に刺激を与えあい、新たなインスピレーションを得られる機会となった今回のヨーロッパ漫画学院の来日。今後も彼らとの友好関係を継続し、イタリア/ヨーロッパでの漫画文化のさらなる普及につなげていきたいと考えています。

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